熊本県人吉市 様
年間3,000件の鳥獣捕獲報告を
アプリ化し、事務処理を効率化
捕獲者の報告負担を軽減し、
データ利活用の推進によって職員の作業工数も
月50時間削減
※本事例は現在実証実験中であり、本格運用は2026年4月に開始予定です。
熊本県南部に位置する人吉市では、シカやイノシシなどによる農林業被害が深刻化しており、捕獲実施隊による害獣駆除が行われている。捕獲実績は隊員が報告する「報告書・写真・駆除証明部位(尻尾など)」の3点を班長が取りまとめ、月1で市役所へ提出。市職員が確認後データ化・集計して国や県へ報告している。しかし、紙の報告では、報告書を作成する隊員にとっても、内容を確認する職員にとっても多大な負担となっていた。そこでPlatioで位置情報や鳥獣の写真も報告できる「捕獲報告アプリ」を作成し、報告や集計作業の負担削減に成功している。
事例のポイント
Platioで「害獣報告アプリ」を作成し、駆除報告をデジタル化。捕獲実施隊員は山林でもスマホから写真・位置情報付きで報告でき、市職員はデータを即時に活用可能となった。これにより、隊員の報告負担軽減に加え、職員の事務作業も月50時間削減され、双方の業務効率化を実現した。
課題・目的
- 紙の報告書を写真付きで作成・取りまとめ・役所へ赴いて提出と、報告完了まで多くの手間と時間がかかる
- 年間3,000件超の報告書を確認・データ化・集計する作業は煩雑で非効率な業務だった
- 電波の届かない山林でも、ITツールを活用して報告と情報管理を効率化したい
- 自治体によって報告項目が異なるため、仕様が固定されたシステムでは現場での運用に支障がある
導入効果
- 報告にかかる時間が大幅に短縮され、隊員が本来の捕獲活動に専念できると高評価
- 位置情報の自動入力や背景色の変更、自動集計により、入力ミスや漏れがなくなり情報の精度が向上
- データ化や集計作業が不要になり、報告処理が迅速化、月50時間の作業工数を削減
- データを一元管理でき、被害傾向の分析や今後の対策立案に活用できる基盤が整った
作成したアプリ画面
アプリ活用イメージ
捕獲・駆除の報告をスマホで撮影し、入力
スマホで報告を受理し、自動集計でデータを活用
運用イメージ
選定ポイント
- オフライン対応で山間部など通信環境が不安定な場所でもアプリが使える
- 駆除の証明となる写真添付や捕獲場所の位置情報が簡単に報告できる
- 高齢者でも使いやすいシンプルな画面設計と操作性
- 市独自の管理項目も設定でき、自治体ごとに異なるニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能
ユーザーのひと言
アプリのプロトタイプは1日で作成しました。その後、カスタマイズ性を最大限に活かし、現場の捕獲者の意見を取り入れながら、誰にとっても使いやすいアプリを目指しました。その結果、実際に多くの隊員から高い評価をいただいています。
本取り組みは、人吉市だけの課題解決にとどまらず、全国の自治体が抱える共通課題への解決策として活用できると考えています。私たちの経験が他の自治体にとっても役立つ事例となれば幸いです。
今後は、Platioと他システムとの連携により、国や県、関連機関に提出する申請・報告書の作成を自動化したいと考えています。また、有害鳥獣対策にとどまらず他の行政業務にもPlatioを展開し、職員の業務効率化と地域の持続可能性向上を目指していきます。
熊本県人吉市
経済部農林整備課 課長 高田 尚志 氏
経済部農林整備課 主幹 坂口 貴司 氏
経済部農林整備課 主席 大柿 恵介 氏
経済部農林整備課 主席 西 健志 氏
経済部農林整備課 主事 市原 慶拓 氏
これまでは、報告書・写真・駆除証明部位の3点を役所に直接提出する必要がありました。現在は、駆除個体に番号をペイントし、その写真をアプリで撮影・報告するだけで手続きが完了します。これにより、紙や写真を印刷したり、遠方から役所まで移動したりする手間がなくなり、日々の作業が大幅に省力化されてとても便利になっています。
人吉市鳥獣被害対策実施隊 隊長 永田 春喜 氏
| 熊本県人吉市 |
| 所在地 |
熊本県人吉市西間下町7番地1 |
| 会社概要 |
熊本県南部に位置し清流・球磨川と豊かな山々に囲まれた自然豊かなまち。球磨川は日本三大急流の1つと言われ、ラフティングや鮎釣りなどが楽しめる。市内には約700年の歴史を持つ人吉温泉や、国宝・青井阿蘇神社などの文化財もある。「住みよさランキング2024」全国総合1位。 |
| U R L |
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