
工場・製造現場での業務遅延や事故の一因として「コミュニケーション不足」が挙げられます。特に、部門が異なるとスムーズなやり取りが難しく、各部門を横断して管理する担当者は頭を悩ませていることでしょう。現場間や部門間でコミュニケーション不足が起きる原因としては、アナログ業務の多さや業務の属人化、部門横断で情報共有を行う仕組みが整っていないことなどが考えられます。
そこで本記事では、現場間・部門間のコミュニケーション問題に直面している方に向けて、コミュニケーション不足で生じる課題や原因を改めて整理し、解決策や、部門間コミュニケーションを円滑にした成功事例をご紹介します。
現場間や部門間のコミュニケーション不足により以下のような課題が発生する可能性があります。各課題について具体的に解説していきます。
生産ラインでのコミュニケーション不足は、操作ミスや納期の認識違いを引き起こし、計画通りの製品生産が行えなくなる可能性があります。例えば、わずかな認識の齟齬が積み重なって大きな手戻りを生み、大幅な納品遅延の原因となることもあるでしょう。最終的には顧客満足度の低下に繋がりかねません。
従業員のコミュニケーションが不十分な場合、機器の誤操作といった問題が発生し、労働災害に繋がることがあります。
また、現場で起こったヒヤリハットの情報が組織内において適切に蓄積・共有されなければ、同じ状況が繰り返され、より大きな事故へと発展するリスクが高まります。
現場間や部門間でのコミュニケーションがスムーズでないと、余計な製造コストが発生する可能性があります。
例えば、製造現場と営業部門の間で発注量や内容が正確に伝わっていない場合、「必要以上に材料を購入してしまう」「急な資材の発注によって手間が増える」ことで、無駄な費用が発生する ケースが考えられます。
口頭伝達や紙ベースによる運用は、認識のずれや情報伝達ミスが生じやすく、マニュアルの更新や製造指示が抜け漏れすることもしばしばあります。このような非効率な業務フローは現場の混乱を招き、作業者の業務負担を増加させます。
結果として、労働環境への不満が高まり、企業全体の生産性低下に繋がるでしょう。
現場間や部門間での連絡が十分でない場合、情報共有の遅延が発生することがあります。
情報共有の遅延は、現場の対応が遅れてしまったり、製造から納品までの各工程において状況の把握に時間がかかってしまったりといった事態を招いてしまいます。
現場間や部門間でのコミュニケーション不足が生じる主な原因として、以下の4点が挙げられます。
多くの製造現場では、依然として紙ベースの作業指示や報告が用いられています。しかし、アナログな運用方法では十分なコミュニケーションを取ることが難しく、情報の共有や更新が遅れがちです。
例えば、製造部門が紙で情報を管理している場合、紙からデータ化する手間に加え、物流部門がその情報を必要とした際に関連するファイルやデータを、物理的に探さなければいけません。保管場所でしっかりと整理されていなければ探すのに時間がかかるうえ、時には重要な情報が見つからないこともあるでしょう。その結果、作業の遅延や業務効率の低下が生じる可能性が高まります。
「属人的」とは、特定の個人が持つ知識や技術に業務が依存している状態を指しており、関係者への情報共有が不十分な状態で、組織全体の効率を低下させる要因の一つとなります。
属人的な業務においては、トラブルが発生した際に原因や対処法を熟知している担当者がいなければ、適切な対応を取ることができずに業務が停滞する可能性も考えられます。
また、急な異動や退職などで十分な引き継ぎを行うことができなければ、後任の担当者が一から業務を覚える必要があり、長期間に渡り業務効率が低下する恐れもあるでしょう。
口頭での情報共有、特に電話による伝達は情報伝達ミスにつながりやすい要因です。
伝達した内容が記録に残らないため、発信者のよる情報の重要な部分の伝達漏れや、受信者も時間が経つにつれて記憶が曖昧になり記憶違いを起こすなど、言った言わないなどのトラブルにつながる場合もあります。また、曖昧な表現を使用したりすると、情報の誤った解釈が発生し、現場の混乱や意思決定の遅れに繋がります。
情報を管理・共有するためのシステムやツールが十分に整備されていないと、情報が断片化され、正確な情報の把握が難しくなります。
例えば、営業部門が顧客の最新情報を持っている一方で、製造部門は更新を知らず古いままの情報で生産計画を立ててしまうかもしれません。
部門間で連携が取れていないことで、過剰在庫・販売機会の損失や顧客満足度の低下に直結してしまいます。
組織間のコミュニケーション不足による問題を解決するためには、現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が非常に効果的です。
ここからは、現場DXを実現するためのデジタル化とプロセス改善に焦点を当て、具体的な手段もご紹介していきます。
DXは、IT技術を活用して業務プロセスを根本から見直し、改善する取り組みです。
DXを推進する際には、よくある課題として「何から手をつければいいか分からない」「初期投資が大きくて躊躇している」といったことが考えられます。
このような場合、まずは現場レベルでのデジタル化・IT化から始めることが良いでしょう。例えば工場や倉庫でのアナログ業務から着手し、段階的に他の部門へと拡大していくことが、DXを成功させる鍵となります。
多くの現場では、ノートパソコンを広げて作業することが困難なため、携行性の高いスマートフォンが適しています。特に、基幹システムではできない細かいアナログ業務をモバイルデバイス用に開発されたアプリを活用することで、非効率な業務を削減し業務効率化を図ることができます。
モバイルアプリであれば、工場や倉庫、建設現場などさまざまな場所からその場でデータを入力し、リアルタイムに情報共有することが可能です。これにより、作業の進捗状況が即座に更新され、プロジェクト全体の管理が容易になります。
また、モバイルアプリは使いやすさを最優先に設計されているため、画面を直感的に操作することが可能です。習熟に時間がかからず、短期間で現場の業務効率化を推進することができます。
近年は、さまざまな種類の業務用モバイルアプリやアプリ作成ツールが提供されています。そのなかでも特に、ノーコードでアプリ作成が可能なツールを活用することで、自社の課題に合わせた最適な業務用アプリを作成することができます。
ノーコードとは、本来であればアプリ作成に必要なプログラミングの知識がなくても、簡単な画面操作をするだけでスピーディーにアプリを作成することが可能な開発方法です。また、修正やメンテナンスも簡単に行えるため、作成したアプリを現場で使用しながらより使いやすいようにカスタマイズしてくことも容易に行うことができます。
ここからは、モバイルアプリを導入し、部門間コミュニケーションの課題を解決した事例をご紹介します。いずれの事例も業務用モバイルアプリ作成ツール「Platio(プラティオ)」を活用した事例です。
Platioとは、業務用モバイルアプリを誰でも簡単に作成できるノーコードツールです。さまざまな業務に合う100種類以上のテンプレートが用意されており、ドラッグ&ドロップのシンプルなマウス操作だけでアプリを作成することができます。
アサヒ装設株式会社様は、営業が顧客からの受注と社内向けの発注を行い、CS(カスタマーサービス)部が部品の仕入れと出荷を担当しています。これまで、出荷情報の共有にはチャットツールを使用し、送り状の写真を確認しお客様からの出荷状況の問い合わせに対応していましたが、確認に時間がかかるという課題がありました。
そこで、Platioを活用して「出荷報告アプリ」を作成しました。このアプリでは、送り状の画像を一覧表示できるため、該当の情報を迅速に見つけ出すことが可能になりました。
これにより、営業担当が顧客からの問い合わせに対し、すばやく正確に回答出来るようになり、顧客満足度が向上しました。

株式会社カクイチ様は、紙ベースの伝票や報告書により、情報共有の遅延・転記ミスによる情報の齟齬が頻繁に発生していました。
農業用の散水装置を扱う新規事業の立ち上げにともない、社内DXを推進するためPlatioを活用し、現場から直接データをシステムに入力できるように紙の文書をデジタル化しました。
これらのアプリにより、生産から納品までの各工程のデータが一元管理され、関連情報へのアクセスが容易になりました。結果として、業務プロセス全体の効率が大幅に向上しました。

ナブテスコ株式会社様は、全社をあげてDXを推進し、現場のIT化とリテラシー向上に向けて取り組んでいます。そのなかでも、紙の作業日報や出荷前画像の管理といった非効率な業務に着目しました。DX推進部が船舶の製造部門と連携し、Platioを導入して作業日報アプリや出荷管理アプリを作成。さらに、Platio Connectを利用して基幹システムや社内サーバーとデータ連携をすることで、 現場のデータ収集と管理が効率化され、年間で200時間以上の業務時間削減に成功しています。
また、現場DXの効果を足がかりに、他の部門でもPlatioで棚卸アプリや設備点検アプリなどを作成、活用して業務改善に取り組むようになり、全社DXの推進に貢献しています。

工場や製造現場でのコミュニケーション不足は、さまざまなトラブルを引き起こし、業務の効率を大きく低下させます。この問題を解決するためには、現場のDX、つまり現場に残るアナログ業務のデジタル化とプロセス改善が非常に有効です。
Platioを活用することで、リアルタイムな情報共有が実現し、部門間トラブルのリスクを大幅に減少させることが可能です。
初期費用0円、月額2万円からの低価格プランも用意されており、アプリ活用まで体験できる無料トライアルも用意されているので、現場間や部門間のコミュニケーション不足にお悩みの方はぜひPlatioをお試しください。