近年、注目されてきている「業務の見える化」ですが、なんとなく理解しているつもりでも説明まではできない方も多いのではないでしょうか?
「業務の見える化」とは、どういったことを指すのか、なぜ今注目されているのかについて解説していきます。
「業務の見える化」とよく混同されてしまうのが、「業務の可視化」です。
「業務の見える化」とは、常に業務全体を把握できるように「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」行っているか、誰でもわかりやすい形で意識的に見えるようにする取り組みのことです。
一方で、「業務の可視化」とは、売上データなどをグラフや映像にして見やすくすることを指します。
データやグラフなどを使う可視化に対して、それらも含めて業務全体を把握出来るようにフローなどを分かりやすい形で見えるようにするのが「見える化」です。
コロナ禍において、テレワークなどの様々な働き方が浸透し、従来のオフィスワークでは感じていなかった「見えない業務」への課題が浮き彫りになりになりました。
そのため、各従業員の勤怠管理や業務の進捗状況の把握をするために、多くの企業で「業務の見える化」の対策をするようになりました。
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アナログ業務が多く残る現場業務では、コロナ禍になる前から「見えない業務」が問題視されており、どのように解決すべきかが検討されてきました。現場では、「紙」や「口頭伝達」などの業務が多く、他の従業員がどのように業務を行っているのかが見えにくいことが原因で、人によって業務内容がばらついてしまったり、その人しか業務対応ができないといった業務の属人化など様々な問題を招いてしまいます。
前述したように、特に製造業などのアナログ業務が多く残る「現場」では、「業務の見える化」で得られるメリットが多くあります。
例えば、「紙」で行われている報告業務をデジタル化するだけでも、リアルタイムな状況把握や報告の取りまとめ工数の削減につながります。
また、業務の効率化だけでなく、労働時間の短縮によりコスト削減にもつながるため、必要な部分をデジタル化し、業務プロセスを効率化する「現場のDX」に取り組む企業も増えています。
業務を見える化することで、ミスの軽減や工数の削減、正確なデータの取得など多くのメリットを得られます。
今回は3つのメリットに着目して解説します。
見える化することで、管理者が現場の状況をリアルタイムに把握できるようになり、問題が起きた際にすぐに対応することができます。
例えば、これまで紙による情報共有を行っていた場合だと、報告書が管理者の元に届くまでに時間がかかりますが、業務アプリを利用すれば、リアルタイムで情報が共有されるほか、必要に応じてプッシュ通知やアラート機能を付けることで「いつもとの違い」にすぐに気付くことも可能になります。
また、問題の対策を早くとることが出来れば、同じ原因によって次に起こるミスも未然に防ぐことが出来ます。
見える化は、業務の質の向上や平準化にも一役買ってくれます。
業務によって仕事量が大きく変動した場合、その仕事量や内容をデータ化して見える化することにより、その他のメンバーに業務を適正に分配することが可能になります。その結果チーム全体として業務の質が落ちることなく、満足度の高いサービスを提供することが可能です。
また、業務の質を上げるためには、属人化している業務内容を見える化することも大切です。 報告書のフォーマット化やマニュアルの策定など、業務フローを見える化することで、誰もが一定の方法で業務ができるようになり、業務品質を担保できます。
特定の担当者しか分からない業務の属人化を解消することで、業務の質を保ち、高められるのは、見える化をするひとつのメリットです。
業務品質が担保できることによって、うっかり起こるミスなども削減することが可能です。これらによってミスが起きた際の修正する手間なども省くことが出来るため、業務効率化・コスト削減にもつながるのです。
企業でありがちなのが、社員の中でも基準が不明確な人事評価についての不満です。他にも、仕事量の負担についても不公平さを感じている人は多いでしょう。
具体的には、2つの点を見える化することによって、社員への不公平をなくすことが見込めます。
1つ目は、「人事評価」についてです。
属人化が進んでしまっている社内では、業務内容に対して適正な評価基準や評価方法が曖昧になってしまっていることもあるでしょう。「業務の見える化」により各従業員の作業内容・工数、スキルが明確に把握できるようになるため、正当な人事評価をしやすくなります。これらをもって人事や部門長を含めて適正な評価を行うことにより、従業員のモチベーションアップと適正な人件費の分配にもつながります。
2つ目は、「仕事の割り振り」についてです。上司から仕事を割り振られることも多いと思いますが、一人の従業員に業務が偏るなど最適ではないこともあるでしょう。
「業務の見える化」によって業務量をきちんと把握することで、
それぞれのメンバーの適正に合わせて業務を細分化し、業務を割り振ることができます。適切に業務を割り振ることができれば業務効率化はもちろん、一人ひとりの負担も減らすことができるでしょう。
見える化することで、業務効率化に対する意識改革もできます。具体的にどこが足りていないのか、どこにつまずいているのか、何に時間がかかっているのかが明確になるため、改善すべき点が把握しやすくなります。
業務状況の把握ができるようになることで、業務効率化を意識しやすい環境を作れると言えるでしょう。
なお、業務効率化に対する取り組みによって、どのように実働時間が変化していくのかが分かりやすいのも、意識を継続させるためのポイントです。
「業務の見える化」を進める上で大切なことは、しっかりと見える化する目的を把握することです。何でも見える化すれば良いということではなく、進める上でポイントを抑えるようにするだけで、効果もが変わってきます。
では、どのようなポイントがあるのでしょうか。今回は特に大切な3つのポイントを解説します。
業務の把握は、見える化をする上で欠かせないポイントです。普段データを取っていないような業務でも、見える化することでわかってくることがあります。業務の把握をするためにも、管理側や現場など関係なく、どこでも把握や記録をしやすいような体制をとることが重要です。
簡単に記録できたり、リアルタイムで共有できるだけで、業務の把握はもちろん、今後の計画も立てやすくなります。
特に現場業務では、現場から一度事務所に帰らなければその記録ができないとなれば運用も続きません。現場の従業員が使いやすい仕組みを作ることが重要です。
見える化をしたところで満足してしまうケースはよくあります。しかし、重要なのは見える化をしてからどのように運用をしていくかです。
例えば毎日の作業工数を入力するなどの工数管理であれば、従業員がいつでも簡単に工数を入力できる仕組みと、管理者が入力できているかの管理も含めて、しっかりと運用にのせていけるよう社内で体制を整えるようにしましょう。
システムや仕組みづくりで運用体制を整えることで、スピーディーかつ効率的に改善できるようになります。
すべてを見える化するのは大変です。そこで、重要になるのが業務の分析です。
見える化することでどのくらいの効率化が見込めるのか、他の業務とどのように作用しているかなどを考えることによって、効果的な「見える化」を進めることができます。
また、現場業務の見える化を推進する場合は、現場で実際に働いている人の声を聞くことも大切です。
「業務の見える化」を検討している企業は多くありますが全ての企業が上手く進められているわけではありません。見える化にも失敗があり、思うような効果を見出せないケースがあります。
では、失敗しないためにはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。見える化を進める際の注意点を解説します。
見える化では、新しいシステムを導入してデータを収集した上で見える化を進め、業務の効率化を図る場合があります。データの集計速度や視覚的な見やすさから見える化が進んでいるとされる場合もありますが、入力がしづらい・実際の業務の運用に合ってないなどで結局導入したシステムが使われないという事例も少なくありません。
例えば、現場が入力に手間がかかる、使いにくいという声が上がるシステムはスムーズな運用が期待できません。見える化の取り組みを継続するためにも、現場に合うシステムを導入できるように準備しましょう。
見える化の取り組みを進めるにあたって、どのように運用のフォローをしていくかは、見える化する上で重要な項目です。運用において問題点やズレが生じていないかを確認しつつ取り組みを進めることで、失敗は少なくなるでしょう。
例えばシステムへの情報入力の仕方がわからないメンバーへのフォローなど、取り組み初期の段階では運用がスムーズに行えているかを確認することも必要です。現場で運用ができるような簡単な仕組みと管理体制を作っていきましょう。
全ての業務を見える化するのではなく、数ある業務の中から効果が得られそうなものを選んで見える化をするのが良いでしょう。
では、企業が見える化するべき業務とはどのような業務なのでしょうか。
ここでは、モバイルアプリ作成ツールPlatio(プラティオ)を活用して、業務効率化に成功した企業の事例を見てみましょう。
株式会社おきなわ物流センターでは、麺やサーターアンダギーの製造量を紙に記入して管理していました。製造量の記入と集計してデータ化・共有するまでに膨大な時間を割いていたため、Platioで「製造日報アプリ」を3日で作成し運用を開始しました。
業務アプリで情報を入力できるようになったことで、作業時間や製造量を即座に見える化できるようになりました。これにより生産性向上に向けた意識改善に繋がり、作業時間の削減にも繋がりました。
数字を入力するような業務や、データ化するといった業務は見える化すべき業務だと言えるでしょう。
事例の詳細は、こちらからご確認ください。
株式会社クラシックでは、Platioで冷蔵倉庫の稼働状況や占有率を見える化できるアプリを1日(1.5時間)で作成。倉庫の稼働状況を視覚的に把握できるよう、アプリで冷蔵庫内を撮影した動画や写真も添付できる仕様にして運用を開始しました。高い稼働率を登録した際だけプッシュ通知が送られるように工夫したことで対応が必要な倉庫がどれなのかをリアルタイムで見える化できたこともポイントです。
日々の倉庫稼働状況のデータは蓄積されるため、長期的な稼働状況の傾向分析ができるようになり、冷蔵庫の限られたスペースを効率的に運用することに成功しています。
プッシュ通知などで見落としたくない情報をすくい上げるような工夫ができる業務も見える化に適しています。
事例の詳細は、こちらからご確認ください。
柳井電機工業株式会社では、営業現場の実態を把握するため、Platioで「営業活動報告アプリ」を作成しました。
アプリで報告された活動内容と、SFAの顧客情報とデータ連携することで、活動内容と工数の見える化に成功しています。
システムを組む際に連携できないかどうかを探ることで、より精度の高い見える化を実現できると言えます。
事例の詳細は、こちらからご確認ください。
働き手の不足や業務の効率化が求められる今、「業務の見える化」は、これからますます注目される世の中になっていくでしょう。
特に、今まであまり手が加えられてこなかった現場の業務は、まだまだ改善する可能性が高く、大きな業務効率化を望めます。
社内で見える化の取り組みを進める際は目的をしっかりと把握・共有し、どのようなインパクトが期待ができるのかを検討してから見える化に踏み切りましょう。
また、実際に運用がスムーズに行えるシステムを用いた仕組みづくりを行うことが大切なポイントです。
今回は、業務アプリを活用した見える化の取り組みとしてPlatioの事例をご紹介しました。
様々な業界で業務に合ったアプリを自社で作成できるPlatioの事例を詳しく知りたい方は下記より是非ご覧ください。