
製造業の現場や管理部門では、物品・備品の所在や在庫の確認に時間がかかってしまうことがあります。背景にあるのは、Excelや紙の台帳、ホワイトボードなど複数の管理方法が併用され、情報が分散してしまうことです。結果として、必要なときに「どこに・何が・いくつあるか」をすぐに把握できず、業務が滞るケースも少なくありません。
こうした課題を解決するには、バラバラな管理台帳を一元化し、現場で入力・確認まで完結できるモバイルアプリで運用することが有効です。
本記事では、物品・備品管理における課題を整理し、モバイルアプリで一元化するメリットや現場に定着するモバイルアプリの条件、物品・備品管理をアプリ化して業務改善に成功した事例をご紹介します。
製造現場や管理部門において、「どこに・何が・いくつあるか」を正確に把握することは、スムーズな業務遂行の基本です。しかし、実際には以下のような課題を抱えている現場も多いのではないでしょうか。
一口に「物品・備品」と言っても、製造業の現場には多種多様なものが存在します。
| 消耗品 | 作業用手袋、工具の替刃、切削用の潤滑油、梱包用テープや段ボールなど |
|---|---|
| 備品・工具 | 特殊レンチ、高精度な測定器、運搬用の台車、現場用PCやタブレットなど |
| 固定資産 | 大型の製造装置、複雑な金型、フォークリフト、コンプレッサーなど |
| 原材料・在庫 | 製品に使用するパーツ、加工途中の仕掛品、出荷を待つ完成在庫など |
これらの物品を管理する際、管理方法が種類ごとに分散しがちです。
例えば、「消耗品は現場のホワイトボードに正の字で記入」「在庫管理は共有PCのExcelで管理」「固定資産は総務部が保管している紙の台帳や別の専用システム」というように、ルールや保管場所がバラバラになっているケースも少なくありません。
個別の物品管理によって情報が散在してしまえば、会社全体での物品・備品の状況を誰も正確に把握できません。その結果、予備があると分かっているのに見つからず、業務への支障を避けるために、同じ備品を二重購入してしまうといった無駄なコストが発生します。また、必要なときに在庫が切れていて製造ラインが止まってしまう、という事態を招くこともあります。
管理体制が整っていない現場では、毎日どこかで「非生産的な時間」が生まれています。
例えば、ある特定の特殊工具が必要になった場合、現場の担当者はまず、本来あるべき保管棚を探します。しかし、そこになければ「誰かが使っているのか?」と他の班の担当者に聞いて回ります。それでも見つからなければ、事務所まで戻って台帳を確認し、最後に使った人間を特定することになります。
このような「探す・聞く・待つ」という行為は、本来の業務や作業の妨げとなります。1回の所要時間は数分から数十分かもしれませんが、日々積み重なれば、年間で膨大な労働時間が失われてしまいます。
加えて、管理体制が整っていない現場には「属人化」のリスクも生まれます。備品管理の担当者が急な休みを取ったり、引継ぎなく離職したりすれば、備品をどのように管理していたか、誰も分からなくなってしまいます。
物品や在庫の情報を一元的にデータ化し、誰でもアクセス可能な状態にしていないことは、管理方法における大きな課題と言えるでしょう。
これらの課題を根本から解決するには、台帳を一元化して情報を集約することが重要です。
その際に意識したいのが「現場での使いやすさ」です。PCのある事務所に戻らなければ入力・確認できないExcelや、現場に浸透しにくい複雑なシステムではなく、「現場で使えて、操作性の良いモバイルアプリ」による一元管理が有効となります。
モバイルアプリで台帳を一元管理する最大のメリットは、「情報が発生したその瞬間、その場で入力・確認ができる」ことです。物品の持ち出しや返却、在庫の消費を行ったタイミングで、スマートフォンを数回タップするだけでデータが更新されます。事務所に戻る必要がないため、移動時間がかからず、リアルタイムな情報共有も可能です。「どの工具が今どこにあるか」「在庫が残りいくつあるか」といった情報も、現場にいながらその場で検索できます。
また、スマートフォンのカメラ機能を活用できる点も魅力です。バーコードやQRコードを読み取れば、手入力による型番の打ち間違いも防げます。備品が破損していた場合には、写真を撮ってそのまま登録できるため、文字だけでは伝わりにくい見た目の確認も行えます。
さらに、モバイルアプリの入力フォームを共通化することで、誰が担当しても同じ粒度で情報を記録できます。これにより、属人化や入力漏れの防止や、報告内容の取りまとめの手間が改善される点もメリットといえるでしょう。
せっかくモバイルアプリを導入しても、操作が難しかったり、現場の動きに合っていなかったりすれば、すぐに使われなくなってしまいます。現場に定着させるためには、以下の4つの条件を備えている必要があります。
現場の作業者に「後から事務所で入力しよう」と思わせないことが重要です。片手でも操作しやすい大きなボタンや直感的なインターフェースを備え、プルダウンやチェックボックスなどの選択方式で簡単に報告が完了する操作性が求められます。
「写真を添付したい」「この備品だけは有効期限の項目を追加したい」といった細かな要望に対し、ITの専門知識がなくてもすぐに対応できるような柔軟性が必要です。
数ヶ月かけてシステムを組むのではなく、今日からでも1つの部署・1つの備品管理から試せるスピード感でアプリを作れるかも大切です。いつでも使い始められるスピード感が、改善への意欲を維持させるコツです。
現場では工場や地下など、Wi-Fiやインターネットが届きにくい場所があることも想定されます。電波がない場所でも入力でき、オンラインになった瞬間に自動で同期される機能は、現場で使うモバイルアプリには必須の機能と言えます。
Platio(プラティオ)は、プログラミングの知識がない現場の担当者でも、自社の業務に合うモバイルアプリを自ら作成・運用できるツールです。
「備品管理」「棚卸」「入出庫管理」など、すぐに使える100種類以上のテンプレートが用意されています。業務に必要なテンプレートを選び、ドラッグ&ドロップの簡単なマウス操作で追加・調整するだけで、自社専用のモバイルアプリが完成します。さらに、テンプレートは柔軟にいつでもカスタマイズが可能です。
さらに2026年2月に「AIアシスト機能」も提供を開始しており、作りたいアプリの説明や帳票画像を参考に、AIが数分でベースとなるアプリを自動生成することが可能になりました。アプリの構成を考えることなく、いつも利用している帳票を起点に最初の一歩をAIが支えることで、誰でもスムーズにアプリ作成を始められます。
※「AIアシスト」は2026年2月時点ではベータ版の機能となります。機能内容・仕様は今後変更される可能性があります。
現場で入力されたデータは、クラウド上でリアルタイムに集計されるため、管理者はPCのブラウザから常に最新の情報を把握できます。またオフライン入力も可能であり、現場のあらゆる場所から利用可能です。
初期費用は不要で、月額27,000円(税抜)からというリーズナブルな価格設定も大きな特長の一つです。
実際にPlatioを導入し、バラバラだった物品・備品の管理体制を改善した企業の事例をご紹介します。
素材、部品から、機器、サービスまで幅広い事業をグローバルに展開するエレクトロニクスメーカーである、京セラ株式会社様の物流部門では、40万点を管理する広大な倉庫内での在庫管理に課題を抱えていました。従来は紙のリストを持ち歩き、目視でチェックしては事務所に戻ってPCに入力するという運用を行っており、事務所と現場の往復が大きなタイムロスとなっていました。
この状況を変えるために同社ではPlatioを導入。現場主導で棚卸アプリを1日で作成・運用開始しました。これまで紙で運用していた棚卸リストのアプリ化により、アプリ上で入出荷のあった在庫リストが表示されるようになりました。現場ではリストに従って棚卸結果を入力するだけで棚卸報告が完了します。
紙の受け渡しや移動の時間を削減できただけでなく、棚卸報告のデータ化によりミスが減り、在庫精度の向上も実現することができました。作成されたアプリは、使い勝手の良さから各拠点へと迅速に展開されています。


京セラ株式会社様の詳しい事例はこちら。
防災消防などの指令系システム、環境エネルギープラント制御監視など、社会インフラ領域を中心にシステムコンサル、システム開発サービスを提供しているアイコムソフト株式会社様では、自社が提供する重量センサーを利用した部品・在庫の可視化システム「計量式在庫チェッカー」の利便性を高めるためにPlatioを活用しました。
通常、既存のシステムをモバイルアプリに対応させようとすると、3週間以上の期間がかかります。しかし、同社はノーコードでモバイルアプリ開発とシステム間のデータ連携を実現できる「Platio Connect(プラティオコネクト)」を活用することで、わずか2日で開発を実現。アプリ開発自体にかかった時間はわずか4時間、既存システムとのデータ連携に1日という驚異的な短期間で、モバイル環境を構築しました。
モバイルアプリ導入後の現場では、これまで倉庫のモニターでしか把握できなかった在庫状況を、場所を問わずオフィスや移動中でもスマートフォンからリアルタイムに確認可能になりました。重量センサーと連動し、在庫が少なくなった際にはプッシュ通知で知らせる機能により、生産停止につながる在庫切れを未然に防げる体制が整いました。


アイコムソフト株式会社様の事例詳細はこちら。
「台帳がバラバラで信頼できない」「最新の状況が把握しにくい」という物品・備品管理の課題を解決するには、現場の負担を増やさずに正確なデータを集められる仕組みが欠かせません。そのためには、バラバラな台帳を一元化するとともに、モバイルアプリで現場からその場で入力・更新できる環境を整えることがポイントです。
Platioを活用することで、まずは「この棚の消耗品だけ」「このラインの工具だけ」というように、スモールスタートで物品・備品管理のデジタル化を始め、他の業務のアプリ化も拡大することができます。
物品・備品管理に課題を感じているご担当者様は、まず身近な管理業務のデジタル化から始めてみてはいかがでしょうか。