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解消事例から学ぶ業務の属人化の解消方法とは?その原因とリスクを知ろう

業務属人化 メイン画像

法人組織は、特定の個人または従業員への依存を避けるべきだと言われています。そう唱えられている理由はさまざまですが、今回は「属人化」を主題に解説します。

業務の属人化とは

自社で業務を運用していく上で最も避けなければならない事態のうちの一つが、「特定個人しかその業務を行えない」という状態です。
いわゆる「業務の属人化」と呼ばれているこの現象は、業務および事業が、特定個人の知識および技術に依存している状態を指します。
特定個人に依存した運用というのは、企業である以上できる限り避けたい状態であると言えるでしょう。
属人化してしまっている業務は、担当している人以外はその業務の内容であったり、トラブル発生時の対処方法が不明な状態であるため、その担当者が体調不良などで欠席するだけで担当していた部分の業務が滞り、万が一退職する事になって上手く引き継ぎを行うことができなければ、一からノウハウを蓄積しなければならないという状態に陥ります。

業務の属人化が起こる原因とは

実際に業務の属人化が起きてしまうのはどういった原因があるのか、解説していきましょう。
理想としては、業務に関わる従業員全てが同じ業務を行えるという状態が望ましいですが、当然ながらそのような状態を実現するには、全員に同等の教育・研修を施したり、多種多様な業務を任せなければならないため企業側も従業員側も負担が大きく現実的ではありません。
そのため、どの企業においても業務の属人化は起きうる事と言えるでしょう。

専門知識が必要で対応できる人が限られる

業務の属人化が起きやすいのは、専門職が多い分野です。例えばプログラマー、いわゆるSEもその一つです。プログラミングの技能は専門知識・技能であるため、プログラムが組める人材は当然プログラマーしか居ないというような状態になります。

プログラマーは専門職でもあり、かつ現代においては需要が高まっているため慢性的な人材不足の状況が続いています。そのため、どうしても必要最低限の人材しか確保できないという状態に陥ります。

結果、そのプログラマー個人に依存してしまうという業務の属人化が発生してしまう事になります。特にプログラマーの属人化によって陥りがちな問題が「組んだプログラムがそのプログラマーにしか理解できないものになっているため、後任のプログラマーが手を付けることができない」というもの。マニュアルが残されていなければ、尚更この現象が悪化し、最終的に後付に後付を重ねていき問題が発生しても原因がわからなくなるような、俗に言う「スパゲッティコード問題」に直面します。

業務が多忙で他の業務に手が回らない

業務そのものが多忙になりがちだと、他の業務を経験させるための余裕というものが生まれません。前述した専門知識が必要な業務もそうですが、専門知識が不要な業務だとしても業務ごとに勝手・手順が違う事があります。
例えば、他社とのやり取りがある業務などは特にこれが顕著で、「いつ」「どのように」連絡を取るかなどの勝手がわからないため、どのように業務を進めていけば良いのかがわからない、という事態に陥りがちです。
そういった専門知識が不要な部分は、業務手順をマニュアル化する事で共有化できます。マニュアル作成自体は利益を生みませんが、業務の属人化を防ぐために、間違いなく必要な作業です。

属人化解消の業務が評価されにくい

業務の属人化を解消する業務自体が評価されにくい、というのも属人化解消が上手くいかない要因であると言えます。直接利益を生む業務ではないため、昇給や昇進に結びつきにくく、社内評価第一の従業員はやりたがりません。

業務の属人化によるリスク

業務の属人化によって発生するリスクについて、それぞれ個別に解説します。

業務効率の低下

業務効率は担当している特定個人に依存しているため、常任担当者が居ない状態になるだけで業務効率が大幅に低下します。また、属人化した状態で担当者が退職してしまった場合や、引き継ぎが完璧に行われていない場合は後任の担当者がいちから業務を覚える必要があるため業務効率の低下が長期間発生する恐れがあります。

業務の停滞リスク

業務効率と同様に、特定個人に依存している業務の属人化は業務を停滞させてしまうリスクを伴います。個人の能力に依存している業務などは特にこの停滞が発生しやすく、技能的にも代替できるような人材が居なければ、いつ停滞が解除されるかも検討がつかず、大きな損益を被ったり、機会損失につながってしまう可能性があります。

品質が不安定になりやすい

業務の属人化は商品、あるいは業務内容の品質を不安定かつ不確かなものにします。というのも、特定個人に業務を依存している場合、外部からは、その業務の進捗や成果がわかりにくく本当に質の良い業務を行っているのかがわからず、正しく品質を評価できません。
また、病欠など何らかの理由で普段は異なる作業に従事している人員が該当業務に取り組む場合、当然ながら成果品質は本来の担当者よりも低くなってしまいます。

トラブル解決まで長引きやすい

トラブルが発生した際にも担当者以外にそのトラブルの原因や状況を把握し、対処できる人材が存在しないため解決は担当者に依存する事になります。
能動的に他の従業員が協力してくれるならまだしも、基本的にはどの従業員も自分たちの業務で精一杯な以上、担当者だけでトラブルの解決に取り組むことになり、結果すぐに解決できるようなものであったとしても、解決までが長引いてしまう可能性があります。

長時間労働

基本的に業務はきちんと環境が整っていれば、複数人に分担した方が短時間で効率的に進められます。しかし、属人化してしまえば個人あるいは少人数で業務を進めざるをえないため、個人でやらなければならない作業量が多くなり、結果的に長時間労働に繋がり、心身の負担から、担当者が企業に不満を抱いたり、退職などにつながって上記のトラブルに発展する可能性もあります。

退職によって貴重なノウハウが失われる

特定個人の技能や経験に依存していた場合、その人が退職してしまうことでノウハウが失われてしまう事があります。完璧に後任に引き継ぎができるというのであれば問題はありませんが、そのようなノウハウのマニュアル化ができてるのであればそもそも業務の属人化などは発生しないでしょう。

前任者が退職してから分からない業務が色々と出てきたり、いちから業務を覚え直すなどの非効率な状態になる前に、日頃から情報共有できる仕組み作りが必要です。

業務を標準化する方法

業務の属人化対策として有効なのは、業務をできる限り標準化する事です。特定個人の技能にどうしても依存してしまう分野であると完全な標準化は難しいものの、大部分は標準化が可能であると言えるでしょう。そういった部分をマニュアル化したりツールやAIに任せることで業務を標準化する事ができます。

業務のマニュアル化

重要なのは業務のマニュアル化です。専門的なように見える業務内容も、業務内容を洗い出し、マニュアル化する事で無駄な部分であったり、他の従業員 やシステム・ツールにまかせて簡略化できる部分がある事が多く、そういった部分を標準化する事で属人化を大きく抑えることができます。

マニュアル化に向いている業務は「一定の手順を踏んで進める必要がある」「判断基準が明確である」「誰が担当しても成果物が同様の形になる」といった業務です。例えば、受発注業務や経理業務、電話対応、点検業務などが該当します。
具体的な取り組みとしては、まず業務内容を詳細に洗い出し、各手順を文書化します。この際、業務フロー図やパソコン画面のスクリーンショットなどを活用し、視覚的に理解しやすいマニュアルを作成しましょう。

ただ、製造業などにありがちないわゆる「職人の技」のような、個人技能や専門的なテクニックはマニュアル化・言語化が難しいため、映像で実際の工程などを残すことで、技能部分もある程度見て学ぶ事ができるようになります。

権限の分散

特定個人に権限が集中している場合、承認に時間がかかったり、急な休みなどの担当者の不在により混乱が生じます。他の従業員でも指揮ができるように権限を分散する必要がありますが、属人化の解消において業務を標準化するという事は「元々担当していた人でなくても良い=他の人に仕事を取られてしまう可能性が生じる」という事であり、専任担当者だった人物から心理的な反発を覚えられる可能性があるため、権限の分散などは慎重に行う必要があります。

業務の見える化

マニュアルの作成と合わせて、業務の見える化も進めると良いでしょう。マニュアルと見える化は似ているように思えますが、実際には異なります。
マニュアルは業務の手順やルールを明文化したものであり、特定の業務を誰でも同じように遂行出来るようにするための指針です。一方で、業務の見える化は業務全体の作業を細かく書き出し、誰が見ても分かりやすい形で意識的に見えるようにすることです。

業務の見える化を進めるための代表的な方法として「スケジュール管理ツール」があります。スケジュール管理ツールは、業務の開始日や終了日であったり、順序や関係性などの依存関係を視覚的に表示することができるため、特にプロジェクト全体のスケジュール管理に有効です。進行状況が一目で把握できるため、遅延やリスクを事前に察知し、適切な対応が可能になるでしょう。

見える化を進めることで業務の透明性が高まり、標準化に向けた分析や改善を進めやすくなります。

ナレッジマネジメントの導入

ナレッジマネジメントとは、個人が持つ知識やノウハウを組織全体で共有する手法です。多くの業務には、担当者だけが知っているコツやポイント・注意点が存在します。マニュアルやタスクには書かれていない感覚的な知識、いわゆる「暗黙知」です。このような社内に点在している言語化されていない情報を集約し形式知化することで、業務の標準化だけでなく品質向上や効率化を図ることができます。

例えば、ナレッジ共有ツールやデータベースを活用し、従業員がいつでもアクセスできる環境を整えます。検索機能やタグ付け機能を備えたプラットフォームを導入すると、情報の整理と検索が容易になります。

ナレッジマネジメントの効果を最大化するためには、組織全体でナレッジ共有の文化を醸成することが不可欠です。従業員が積極的に自分の知識を共有するようにインセンティブを設けたり、共有の重要性を啓発する教育を行ったりしましょう。

システム・ツールの活用

システムやツールを活用することによって業務を簡略化できるものもあるでしょう。特に業務のマニュアル化などは情報共有ツールを活用する事によって、いつでもどこでもマニュアルや必要なデータにアクセスできるような環境を構築する事ができます。
基本的な部分をシステムやツールの活用によって簡略化する事ができれば、専門的な部分のマニュアル化に注力できるため、より業務を標準化しやすくなると言えるでしょう。

また、工場や倉庫、客先といった移動の多い現場では、持ち運びに便利なスマホで利用できる業務アプリを活用することで、アプリ内にあるチェック項目を確認しながらその場で報告を完了できるため、わざわざ事務所に戻ってから報告書をまとめる必要もなくなり、業務効率化することができます。

属人化の解消には業務アプリ作成ツール「Platio」

platio

業務の属人化解消に役立つシステム・ツールはいくつも存在しますが、その中でも多くの企業から選ばれているのが、業務アプリ作成ツール「Platio(プラティオ)」です。

Platioは、豊富に用意された100種類以上のテンプレートから、自社の業務に合うものを選択するだけで、モバイルアプリを作成できるクラウドサービスです。パーツを組み合わせるような、直観的な操作で業務アプリが簡単に作成できるので、IT人材に頼ることなく、現場の従業員が自ら欲しいアプリを作成することが可能です。
現場の情報を効率的に取得・蓄積し、リアルタイムに情報を共有できるため、業務の標準化にも最適です。

Platioを活用した属人化解消の取り組み事例の紹介

ここでは、Platioを活用した事例をご紹介します。

現場の“匠の技”記録アプリを2日で作り、技術継承を効率化(NTT東日本 茨城支店 様)

NTT東日本 茨城支店様は、ネットワークサービスなどの提供に加えて、電気通信設備の構築や管理、保守を担っています。他のインフラ企業がガスや電気などの地面を掘り起こして工事を行う際は、同社の社員が立ち会い、管路の埋設位置などを説明します。しかし、この立ち会いを担当してきたベテラン社員が高齢化するにつれて若手社員へのノウハウ継承が急務になりました。

そこでPlatioで現場のノウハウをその場で報告できるアプリを2日で作成し、効率的かつ信頼性の高い情報を蓄積できるようにすることで、若手社員の育成を効率的に行えるような環境を作ることに成功しています。このアプリは「匠の技」という名前で、年間1,000時間もの業務を削減する事にも成功しており、Platioの活用で技術継承の課題だけでなく業務効率の向上も実現しています。

株式会社NTT東日本 茨城支店、現場の“匠の技”記録アプリを2日で作り、技術継承を効率化

事例の詳細はこちらから。

株式会社NTT東日本 茨城支店、現場の“匠の技”記録アプリを2日で作り、技術継承を効率化

現場の情報をアプリで共有、サービス向上で国際会議の誘致を促進(株式会社大阪国際会議場 様)

大阪府立国際会議場様は、催事場、セミナー会場や貸しホールとして利用される高品位な空間を提供しています。同社では、施設運営の情報やお客様からヒアリングした情報を紙で共有しており、管理の手間や共有スピードに課題を感じていました。
そこでPlatioで情報共有のための専用アプリを作成し、施設運営の効率化とともに業務効率化を実現。施設運営のノウハウの蓄積と活用により、サービスの向上や新しいイベントの誘致につなげています。

現場から報告があると通知で関係者へ共有

事例の詳細はこちらから。

大阪国際会議場様、現場の情報をアプリで共有、サービス向上で国際会議の誘致を促進

入荷〜出荷までをアプリで管理、リードタイムを5日から2日に短縮(株式会社こころ 様)

株式会社こころ様は、「社会貢献ペット用品店cocoro」を運営し、賞味期限間近などの理由で店頭販売が難しい良品質のペットフードを低コストで販売しています。同社では、入出荷情報を紙やエクセルで管理しており出荷までに膨大な手間と時間がかかっていました。
特に紙の運用では、人によって書き込み内容が異なるため情報の整理ができず、問題発生時の原因分析が困難という課題がありました。
そこでPlatioを導入し、入荷から出荷までの作業情報を一括で管理できる「倉庫作業管理アプリ」を3日で作成。アプリを活用することで、入力項目が統一され報告内容の属人化を解消しました。情報が整理され、問題発生時の原因分析や業務改善が容易になりました。倉庫管理業務自体も効率化され、スピード感のある二次流通を実現しています。

こころ、入荷〜出荷までをアプリで管理、リードタイムを5日から2日に短縮

事例の詳細はこちらから。

こころ、入荷〜出荷までをアプリで管理、リードタイムを5日から2日に短縮

情報共有のタイムラグを最大5時間削減、素早い状況把握と顧客対応を実現(株式会社加賀屋 様)

株式会社加賀屋様は、石川県の和倉温泉で3館のホテル旅館を営んでいます。同社では見えないところで効率化を図り、人間味溢れるおもてなしの時間の創出を積極的に行っています。
加賀屋姉妹館の「あえの風」では清掃マニュアルを確認しながら清掃点検できる「清掃点検アプリ」と忘れ物をその場で写真に撮って記録できる「忘れ物記録アプリ」をPlatioで3日で作成。
紙の清掃マニュアル参照が手間で、人によって点検レベルに差がありましたが、アプリ上に明記された清掃基準を確認し点検することで、属人化を防ぎ清掃レベルの統一化を実現しました。アプリで効率化を図ることで従業員の接遇時間を増やし、より顧客満足度の向上に取り組んでいます。

加賀屋、アプリ活用でアナログな事務作業を削減、おもてなし時間を創出

事例の詳細はこちらから。

加賀屋、アプリ活用でアナログな事務作業を削減、おもてなし時間を創出

まとめ

ここまで、業務の属人化について解説しました。業務の属人化を発生させない、あるいは解決するために必要なのは業務の標準化であり、端的に言えば「誰でもマニュアルを見るだけで業務を完遂できる」というような状態が理想と言えます。そのためにも、各種ツールなどを活用しながら、現場の属人化を防ぎ中長期的に利益を残せる組織を目指しましょう。

Platio編集部 最終責任者:中野

著者画像 中野

2013年にアステリアに入社。制作からディレクションなどPlatioのWEB関連を担当をしています。

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