企業にとって、ヒヤリハット報告の改善は、重大な事故の発生を予防するための重要な取り組みです。しかし、ヒヤリハットの報告が定着しない、報告書の内容がバラバラで取りまとめに手間がかかるという課題を抱える担当者も多いのではないでしょうか。こうした課題を解決するためにも、ヒヤリハットの報告書を作成する目的について関係者と共通認識を持ち、誰が見ても内容を理解しやすい報告書を作成することが大切です。
そこで本記事では、ヒヤリハットの基礎知識、ヒヤリハット報告書の作成する目的や書き方のポイントなどについて解説していきます。
「作業中に重大な事故や事件につながる可能性があった事例」をヒヤリハットといいます。作業中に思いがけない事が起きて「ヒヤリ」としたり、「ハッ」とするといった状態を指します。ヒヤリハットは建築業や製造業といった危険の伴う業種はもちろん、一見すると事故とは無縁に思える業種でも起こりえます。
ヒヤリハットにも関わる有名なハインリッヒの法則というものがあります。「1件の重大な事故の裏には、29件の重大な事故にならなかった軽微な事故、さらにその裏には300件の事故にならなかったケース(ヒヤリハット)が隠れている」というものです。別名「1:29:300の法則」「ハインリッヒの災害トライアングル定理」「傷害四角錐」とも呼ばれています。
ハインリッヒの法則を提唱したハーバート・ウィリアム・ハインリッヒは、工場で起きた5,000件の事故を調査した結果、重大な事故は小さな事故の積み重ねが原因であることを突き止めたのです。このことから、ヒヤリハットが起きた原因を把握することは、重大な事故防止につながることを意味しています。
ヒヤリハットが起こる原因は、作業者の精神的な原因、情報共有やコミュニケーションの不足、5Sの不徹底に分けることができます。以下、それぞれの原因について解説します。
納期や作業の遅れによる焦りや、疲労の蓄積による不注意は、ヒヤリハットが起こりやすい身近な原因です。また、いつも行っている作業だからと油断して、よそ見をしたり確認を怠ってしまうといったことは、経験年数に関わらずヒヤリハットが発生する原因として挙げられるでしょう。
作業指示やマニュアル変更といった情報が周知徹底されていなかったり、作業員同士のコミュニケーション不足が原因で、伝達された情報に認識の違いがある場合は、ヒヤリハットが発生しやすくなるでしょう。特に、新人作業者の教育体制が整っていない現場では、機械の操作や作業上の注意点を十分に伝えていない状態のままで、仕事に取り掛かるケースも見受けられます。
5Sとは、職場環境改善の活動で、「整理(SORT)」「整頓(SET IN ORDER)」「清潔(STANDARDIZE)」「清掃(SHINE)」「しつけ(SUSTAIN)」のことです。作業導線上に不要なものが置かれていたり、備品や道具が乱雑に置かれている、設備の清掃が行き届いていないといった環境では、ヒヤリハットの発生する可能性が高く重大な事故や危険にもつながりかねません。
どんなに小さなヒヤリハットが起きた場合でも、その都度、報告し共有されなければ、同じことを繰り返してしまったり、その先にある大きな事故や危険を防ぐことが難しくなるでしょう。報告書を漏れなく作成するためにも、従業員に次のような報告書作成の目的を共有し、報告することの重要性を認識して貰うことが大切です。
小さなヒヤリハットは「この程度なら問題ない」「次は気をつければいい」という油断、または「上司に叱責されたくない」「ミスしたことを人に知られたくない」といった保身の気持ちから、報告されないこともあるかもしれません。しかし、こうしたヒヤリハットの積み重ねが重大な事故を起こす引き金になります。些細なことでも、その都度ヒヤリハット報告書を作成し適切に報告することは、将来起こるかもしれない大きな事故を防ぐことにつながります。
個人が経験したヒヤリハットは、他のスタッフでも同じことが起きている可能性があります。個人個人が対策を考えるのではなく、起こった事故を現場スタッフ全体で共有することで、同じ状況を防ぐことが出来ます。どれだけ小さなヒヤリハットであっても、スタッフ間で情報共有することが事故防止につながります。
ヒヤリハットを記録しておくことで事故予防の対策強化になります。実際に起きている事象が異なる場合でも、原因となる根本的な理由は同じという可能性もあります。ヒヤリハットの情報を蓄積・分析することが、将来起こるかもしれない事故への対策を強化することになるのです。
ヒヤリハットには明確な様式や書き方があるわけではありませんが、次にご紹介するポイントを押さえておくことで、共有のしやすいヒヤリハット報告書を作成することができます。
ヒヤリハット報告書を作成する際は、5W1H(いつ・どこで・誰が・何をしたか・なぜ起きたか)を記入する項目が必要です。
ヒヤリハット報告書に直接的な原因・間接的な原因を記入し考察することで、後に起こるかもしれない重大な事故を予測する手がかりになります。
時間が経過すると記憶があやふやになり正確性が失われるため、ヒヤリハットが起きたらできるだけ素早く報告し、関係者へ共有することが求められます。そのためには、紙に記入するよりもその場で報告・共有ができるモバイルアプリの活用が有効です。
ヒヤリハット報告書は、同じ部署の同僚や上司だけでなく他部署や専門的な知識のない人も見る可能性があります。誰が見ても意味が通じるように、専門用語や略語はなるべく避けて、分かりやすい言葉で書くようにしましょう。
ヒヤリハット報告書を書く際は、状況を把握しやすいように主観ではなく第三者の目線で書く必要があります。「自分は分かっているから」とヒヤリハットが起きた状況を不正確に記入するのではなく、誰が見ても分かるように、ヒヤリハットが起きた状況を正確にに記入することが大切です。
ヒヤリハットが発生しても、記録やメモに溜めておくだけで、考察や分析をしなければ対策をとることができません。報告されない事例をいかに可視化するかが重要なため、必要な時にいつでも報告書を使える環境を整えることが大切です。また、ヒヤリハット報告書を作成する習慣をつけることも重要ですが、用紙で作成すると、用紙をもらう・提出するために移動する、保管場所を作るなど手間が増えるため習慣化が難しくなります。そこでヒヤリハット報告書をいつでも使える+習慣化するために、携行性の高いスマホで利用できるモバイルアプリを活用するといった工夫が必要です。ヒヤリハットが発生した際に、すぐにモバイルアプリで報告することで、次のようなメリットが得られます。
アプリを使って作成や保管を容易にすることで、ヒヤリハット報告書の作成が習慣化しやすくなります。
ヒヤリハットを即共有する重要性や方法についてはこちらをご覧ください。
ヒヤリハットの報告を習慣づけるためにも、日々の点検報告といった記録についてもモバイルアプリで管理しておくことが重要です。モバイルアプリならヒヤリハットを感じたときに操作性に悩まずに報告できます。現場の状況を報告する業務は数多くありますので、モバイルアプリで報告する癖をつけておくと良いでしょう。ここからは、当社が提供するモバイルアプリ作成ツールPlatio(プラティオ)を活用したヒヤリハット報告の改善や、業務効率化に成功した事例をご紹介します。
豊通リサイクル様は、工場での事故防止のため、ヒヤリハット報告や改善提案に取り組んでいますが、紙の報告書での記入や情報管理に課題を抱えていました。
そこで、Platioを導入してヒヤリハット報告や改善提案アプリをわずか3時間で作成し、その場で報告できる手軽さから報告漏れがなくなり報告件数が倍増しました。さらに、報告書のフォーマットの統一化やリアルタイムでの報告確認により、改善サイクルにおけるフィードバックの期間を1〜2週間から2日に短縮することに成功しています。
事例の詳細はこちらからご覧ください。
東備建設様では、重機の管理のために点検用紙に記録していましたが、記入漏れへの対策や用紙の回収が月1回だったことで状況の確認が困難でした。
そこで、Platioで「重機点検アプリ」を作成し現場で使い始めました。その結果、日々の重機点検報告をアプリで完結できるようになり、点検漏れゼロを実現しました。
また、アプリ活用によりペーパーレス化にもつながり、用紙の回収や保管の手間を削減。記入漏れがあっても素早い対応が可能となり管理業務も効率的に行えるようになりました。現場に負担をかけない点検アプリを低コストで作成し、「建設現場のDX」を推進しています。
事例の詳細はこちらからご覧ください。
エキスパート様では、車両点検、健康管理、業務日報を用紙に記入して従業員が管理していましたが、従業員は直行直帰型のため紙の授受を郵送で行う必要があり、送付の手間がかかっていました。書類が届くまでに長ければ10日ほどかかることもあり、給与計算などの事務作業に遅延が発生していました。そこで、Platioで「車両点検」と「健康管理」のアプリを1日で作成。アプリ活用により、細かい車両点検の報告をスマホから簡単に報告できるようになりました。また、従業員の健康状態をすぐに共有・確認できるようになり、より運送の安全を確保できるようになりました。
アプリは使い慣れているスマホを使用するため、運用変更による従業員の混乱がほとんどなくスムーズに導入することができました。
その他、ペーパーレス化が進み印刷や郵送の手間がなくなり、事務作業を大幅に削減することに成功しました。
事例の詳細はこちらからご覧ください。
Platioアプリについての詳細はこちらをご覧ください。
小さなミスであるヒヤリハットの積み重ねが、取り返しのつかない重大な事故を引き起こします。ヒヤリハット報告書を作成して上司や同僚と情報共有し、考察・分析することが事故を防ぐことにつながるのです。
そのためにも、ヒヤリハット報告書の作成を習慣化し、利用しやすい環境を整えることが重要となります。現場ですぐに報告できるモバイルアプリを活用することで報告の手間を削減し、情報共有や管理を行いましょう。
モバイルアプリ作成ツールPlatio(プラティオ)は、プログラミングの知識がなくても、誰でも簡単に、現場で使いやすいモバイルアプリを作成することが可能です。現場で使うモバイルアプリは現場のスタッフが使いこなせるか?使いやすいか?が重要です。実際の現場の声を拾いながら自社で使いやすいアプリ作成を行うことで、ヒヤリハット報告書なども含めた管理業務を効率化できます。
Platioなら、100種類以上の豊富なテンプレートが用意されているため、テンプレートを選ぶだけでヒヤリハット報告アプリを作成してすぐに現場で利用できます。無料体験から始めることができるので、まずは使い勝手を試してみるのも良いでしょう。
ヒヤリハット報告で使えるテンプレートの詳細はこちらをご覧ください。
また、モバイルアプリを使って現場業務のミス防止・管理業務の効率化を行っている事例はこちらでご紹介しています。無料でダウンロードできますので、現場のミス防止・効率化に向けての運用方法が気になる方はご覧ください。