ペーパーレス化をスムーズに進めていくためには、以下の3つの手順で進めていくのがポイントです。それぞれの手順をチェックしてみましょう。
まずは現在、社内でどのくらいの紙が使われているのかを把握するところから始めます。以下のように、文書でやり取りしているものを全てリストアップしましょう。この段階では、紙の形状などは問いません。あくまでも紙でやり取りを行っている文書を把握します。
紙を使用している文書の例 |
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報告書、契約書、会議資料、営業資料、見積書、稟議・決裁書、人事関係申請書、 業務指示書、作業日報、点検報告、在庫管理、勤怠管理、業務マニュアルなど |
紙の使用状況を全て把握できたら、その文書が現状必要かどうかを検討し、必要な場合はペーパーレス化が可能かどうかを分類していきます。一般的に、会議の資料や業務マニュアル、申請書などの社内文書は、ペーパーレス化しやすいものが多い傾向にあります。社外向けの請求書や契約書などは、電子化は難しい場合もあります。
ペーパーレス化が可能な文書が分かったら、電子化に向けたシステムやツールなどの導入を進めていきましょう。例えば、申請書などの場合は「ワークフローサービス」、勤怠管理の書類の場合は「クラウド勤怠管理システム」、製造業、建設業、サービス業、宿泊業などのフィールドサービスの場合は、持ち運びに便利なスマホを活用した「業務用モバイルアプリ」での報告業務や情報共有・管理など、目的に適したツールを検討します。
ペーパーレス化を成功させるには、全社で取り組むことが大切です。多くの人に協力してもらうためにも、以下のポイントを押さえましょう。
ペーパーレス化を全社で進めていくためには、経営者層の理解が必要です。ペーパーレス化について説明し、どのような効果が得られるのかを理解してもらいます。説明の際は、コスト削減、生産性向上などメリットをアピールするのがコツです。削減できるコストやペーパーレス化に必要なコストをはじめ、具体的な成功事例などを提示できると説得力も増します。
また、経営陣が積極的にペーパーレス化に取り組む姿勢を示すことで、社員の理解が得られやすくなります。
ペーパーレス化の推進には、従業員の協力が不可欠です。アナログ業務が多い現場業務では、今までの慣れたやり方があるため、新しいシステムを利用することに不安を抱く従業員もいるでしょう。「ペーパーレス化を進めることで利便性や効率性が向上し、業務負担が削減される」など、管理者と従業員の双方にメリットがあることを理解してもらえれば協力も得られやすくなります。一方的にシステム導入を説明するだけでなく、従業員の意見も吸い上げ、不安や不満を解消できるように取り組むことも必要です。
ペーパーレス化を一気に進めると従業員が混乱する可能性があるため、まずは小規模から段階的に進めていく必要があります。ペーパーレス化を進める文書の優先度順を決め、コンテンツごとやプロジェクトごとに取り組めば、従業員の混乱も防げます。また、取引先にも関係がある文書に関しては、ペーパーレス化を行う前に、取引先の書類の管理状況を確認することが大切です。取引先が請求書を紙で管理している場合は、PDFなどで電子化した請求書を送付してもうまく活用できず、受け取れないケースもあるので注意しましょう。
従業員の中には、ITに不慣れな人や苦手意識をもつ人もいるでしょう。そのような従業員 が多い場合は、新しいシステムを利用するための研修期間を設ける、教育用の担当者を配備するなど教育環境を用意することが必要になります。
その他、パソコン操作に不慣れな従業員でも使いやすく、幅広い年齢層にも受け入れられやすいツールを導入することもおすすめです。例えば、スマホを活用した「業務アプリ」は、シンプルな操作性で、いつも使っているスマホと同じ感覚で、教育しなくても直感的に使えるので慣れるのも早いでしょう。
「製造」「建設」「宿泊」「サービス」など、デスクから離れた現場で働くフィールドワークでは、携帯性に優れたスマホを活用した「業務用モバイルアプリ」などを使ってペーパーレス化を進めるのがおすすめです。
現場業務では、基幹システムでは拾えない「細かいアナログ業務」がいまだに多く残っている傾向があります。移動や立ち仕事も多く、パソコンで情報管理しようとするとパソコンがある場所まで移動しなければなりません。スマホで使える業務アプリなら、どのような現場でもその場で情報をすぐに入力でき、リアルタイムで管理者との情報共有が可能になります。
様々なペーパーレス化の中で、なぜ現場業務に「業務用モバイルアプリ」の活用が効率的なのか詳しくご紹介します。
紙の報告書では、用紙の回収やExcelへのデータ化などに時間がかかり、リアルタイムな情報共有ができません。
業務アプリなら、いつでもデータを登録できるため、リアルタイムな情報が可能になり、現場の状況を把握しやすくなります。
工場や倉庫、建築現場などの現場では、ネット環境が繋がらない現場も多くあります。業務用モバイルアプリなら、オフラインでも利用できるため、ネット環境に関わらず、いつでも利用することができるため、作業を止めることなく報告業務を完結できます。また、ネット環境のためにわざわざ移動する手間も不要になります。
業務用モバイルアプリなら、スマホの機能を使ったデータの共有が可能になります。例えば、紙やExcelではできない「プッシュ通知」は、大事な情報を漏れなく通知することができます。
その他にも、カメラや動画も、わざわざカメラからデータを移動する必要もなく、スマホで撮影して、そのままアプリに添付することが可能になり作業の手間を軽減します。
スマホからすぐに報告できるため、報告のために事務所に帰ってから作業をするなどの移動の手間が不要になります。また、紙で報告書を郵送・回収 していた場合は、事務作業の手間も不要になり、情報のタイムラグが削減できます。
PCの操作に不慣れな従業員でも、業務アプリならいつも使っているスマホの操作と同じように使えるため、幅広い年齢層に受け入れられやすく、現場業務に馴染みやすいです。
また、「選択式」や「スライダー」などを利用すれば、テキストを入力などの 登録の手間を 大幅に削減できます。
上記のような簡単な操作性から、ツールの導入のために従業員への研修期間を設けることなく、直感的に利用できます。
紙の報告書では、データ分析がしにくく記録のみで止まってしまいがちですが、アプリから蓄積したデータを分析し業務改善のために役立てることが可能になります。
「 Platio(プラティオ)」は、業務に合った100種類以上のテンプレートから選ぶだけで、誰でも簡単に「業務アプリ」が作成できるモバイルアプリ作成ツールです。スマホ特有のシンプルな操作性で、現場にも馴染みやすく、月額2万円からの低価格で業務効率化が実現できます。今回は、現場の報告業務の効率化に最適な「Platio」を活用した7社の事例をご紹介します。
各種部品や通信機器、サービス、ネットワークなどの事業を手掛ける京セラ株式会社様の物流倉庫では、40万点を超える製品の棚卸を紙のリストで行っており、目視でのリストチェックでは人的ミスも発生し、倉庫在庫の精度向上に課題がありました。
そこで、Platioを使って1日かからず「棚卸アプリ」を作成し運用を開始。棚卸報告のデータ化により在庫照合が自動化され、目視チェックによるミスがなくなり、在庫精度の向上を実現しました。
また、巨大な倉庫内では事務所と現場の行き来に10分以上かかっていましたが、アプリ上で在庫数を共有できるため、用紙の受け渡しの手間と移動の時間を削減しました。現在では、使い勝手の良さから多拠点への展開が進んでいます。
事例の詳細は、こちらから。
沖縄そば麺やサータアンダギーを自社工場で製造しているおきなわ物産センター様では、製造に使われた原材料の量・製造時間・工数などを紙に記録していましたが、紙のデータをExcelに転記・集計する手間やデータ共有までにのタイムラグが発生するといった課題がありました。
そこで、Platioを導入し、製造現場からすぐにデータを入力でき、1日の製造量や1時間あたりの製造量を把握できる「製造日報アプリ」を3日で作成し運用を開始したところ、報告作業工数が1人当たり月4時間削減されました。 また、集計データから1時間毎の製造量の平均値を算出することで、グラフで推移が見える化されて傾向分析も可能となり、最適な人員配置によるコスト削減、売上拡大に向けた製造計画の策定などが実施できる体制も構築できるようになっています。
例の詳細は、こちらから。
大阪を中心に、送迎バスの運行管理業務を請け負っている株式会社エキスパート様では、「業務日報」「車両点検」「健康管理」をそれぞれ紙で管理していました。しかし、従業員は直行直帰型のため、紙の授受を郵送で行っていたことで、送付の手間やコストがかかり、毎月100枚以上の紙の報告書を確認し転記、給与計算などの事務作業に時間がかかっていました。
そこで、Platioを導入して「業務日報アプリ」「車両点検アプリ」「健康管理アプリ」を1日で作成。アプリ活用により、日々の報告をタイムリーに報告・確認できるようになり、ペーパーレス化だけでなく、報告用紙の印刷、郵送などの手間を削減し、業務効率化を実現しました。その他、さらに、従業員へのIT活用が浸透したことで、DXへの第一歩となりました。
事例の詳細は、こちらから。
岡山県で幅広い建設・土木工事を展開している株式会社小坂田建設様では、始業前点検をはじめとする点検・管理を徹底しています。しかし、現場において紙による点検管理では、用紙が雨に濡れて破れたり紛失したりすることがありました。また、点検管理の不備からオイル交換の時期を逃すと高額な修理費用がかかることに課題がありました。
そこでPlatioを導入し、「車両・建機点検アプリ」を2日で作成し運用を開始したことで、効率的な点検管理を行えるようになりました。さらに、アプリによる点検で車両や建機の状態について意識する機会が増えたことで点検意識が高まり、結果的に点検による故障に迅速に気づくこと・予防につながっています。
事例の詳細は、こちらから。
「緊急輸送対応」を中心に軽貨物運送業を展開している株式会社ワイ.イー.サービス様では、配送報告を紙で運用していました。ルートや時間帯の定まっていない流動的な業務であるため、紙の報告書では提出遅れや入力漏れなどがあり、事務スタッフの負担になっていました。
そこで、Platioを導入し「配送報告アプリ」を3日で作成。ドライバーが、アプリからその場で報告・共有が完結でき、報告書提出の手間を削減。また、選択形式で簡単に入力をできるようになりました。その他、事務スタッフも管理業務が効率化され、事務負担を約30%軽減しています。
事例の詳細は、こちらから。
スポーツクラブを全国展開している株式会社ルネサンス様では、毎日各店舗で10~20件の忘れ物が発生しており、紙の台帳では、忘れ物記録や問い合わせ・引き渡し対応の負担が大きいという課題がありました。
そこで、開発経験のない現場担当者がPlatioで「忘れ物管理アプリ」を3日で作成したことで大幅に業務が改善されています。
「忘れ物管理アプリ」により、日付・場所・カテゴリから品物を素早く検索することが可能になったことでスムーズな引き渡しが可能になり、取り違えの防止など問い合わせや引き渡し対応の質、顧客満足度が向上に繋がっています。
また、「忘れ物管理アプリ」は、ほとんどの項目を「選択式」で入力できるため、記録の手間が削減され紙台帳の半分以下の時間で作業が完了できるようになりました。
アプリ導入により、店舗の現場スタッフが本来の業務に注力できる体制が整い、現在では、「忘れ物管理アプリ」を全国の店舗で活用しています。
事例の詳細は、こちらから。
石川県で3館のホテル旅館を営み、プロが選ぶ日本のホテル旅館100選※1で総合1位を獲得するなどホテル業界を牽引する株式会社加賀屋の姉妹館「あえの風」では、点検結果や忘れ物を紙の報告書に記入・管理する事務作業で、接遇時間が削減されてしまうことに課題がありました。
そこで、Platioを導入し「清掃点検アプリ」と「忘れ物記録アプリ」を3日で作成しました。全128客室の清掃点検報告書と清掃マニュアルのペーパーレス化を実現した他、清掃点検業務ではこれまで紙の清掃マニュアル参照が手間なうえに、人によって点検レベルに差がありましたが、清掃点検アプリ上に明記された清掃基準を確認しながら点検することで、属人化の防止と清掃レベルの統一化につながっています。
※1 株式会社旅行新聞新社が主催するランキングより
事例の詳細は、こちらから。
現在、DX化・テレワークの導入・SDGsなどの観点から、多くの企業がペーパーレス化を検討しています。今回は、ペーパーレス化を成功させるための手順やポイント、成功事例について解説しました。
基幹システムでは拾えない細かいアナログ業務のペーパーレス化として「業務アプリ」を導入する企業も増えています。現場業務のペーパーレス化の対策として、プログラミングの知識不要のモバイルアプリ作成ツール「Platio」についてもご紹介していますので、ペーパーレス化を検討する際は、ぜひ参考にしてください。
アナログ現場においてモバイルアプリが注目される理由や現場を効率化するコツについては、下記もご覧ください。
現場にはいまだに「紙」や「Excel」が業務ツールの中心として残っており、その環境を打開していくことが急務となっています。本資料では、現場に必要な環境づくりの勘所について触れながら、デジタル化によって現場業務の改善を図っていくための強力なツールとしてのモバイルアプリの重要性についてご紹介します。
Excelは日本中、世界中の現場で、実に色々な用途で使われています。しかし本当にそれらは生産的なExcelの使い方でしょうか。本書では、Excelを使うべき業務とそうでない業務を区別するポイントに触れながら、Excelに代わる新たな流れ「アプリ活用」のはじめ方とその効果をご紹介します。