トップダウンでDXを推進するにあたって、さまざまな取り組みを実施する企業が増えていますが、工場や倉庫、客先などフィールドワークの現場までDXが浸透している企業は少ないように思われます。細かな業務が多い現場では、アナログな情報のデジタル化といったところから躓いているケースも多く、日々蓄積される情報を手作業で管理するのに時間も労力もかかってしまっていることでしょう。
そのような状況にある現場で、DXのはじめの一歩であるデジタル化を進めるには、まず紙やExcelなど既存の「情報管理」のプロセスを見直し、改めて業務効率化や情報の一元管理によるデータの有効活用を図ることが重要です。
そこで本記事では、現場の情報管理における課題を整理し、細かな業務が多い現場で活用できる、モバイルアプリの有用性について解説します。また、現場業務のアプリ化によって実現した情報管理業務における効率化について、さまざまな企業の成功事例も併せてご紹介します。
ビジネスの最前線である現場の状況を把握するためは、さまざまな情報を収集し管理する必要があり、これらの情報は主に紙やExcelを使用して管理するケースが多く存在します。アナログな方法による情報管理を行っている場合、例えば紙に報告内容を記入する手間や、手書きの報告書をExcelやシステムに転記する手間など、担当者だけでなく管理者にも大きな負担がかかります。
しかし、効率化を図りたいとは思っていても、上手く進められずに悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。まずは現場の情報管理における課題と、その解決策を確認していきましょう。
紙やExcelでの情報管理に頭を悩ませている現場は多いものの、実際にデジタル化を推進しようと思っても課題が山積みです。
例えば「現場ではPCを持ち込めず、紙からデジタルに移行できない」「ファイルが各所に散在している」などの理由で、仕方なく手作業で進めているケースも多いでしょう。
さらに、システム導入を検討しても「業務フローが整理されていない」「既存のシステムでは対応しきれない」「IT部門が忙しく、現場システムの改善が後回しになっている」「費用面で厳しい」などの問題も考えられます。
現場の情報を一元化したいのに、なかなか実現できないのが現状ではないでしょうか。
現場の情報管理における課題を一気に解消できるのが、業務用モバイルアプリです。
業務用モバイルアプリなら、現場でスマートフォンから情報を入力するだけで、リアルタイムで他部署や経営層と情報を共有することが可能になります。また、モバイルアプリであればオフラインに対応しているため、電波が届きにくい倉庫内や地下などの現場であっても、インターネット環境に左右されず安定して利用することができます。
「業務用モバイルアプリ」と言われても、活用するまでの具体的なイメージが涌かない方も多いでしょう。
簡単にご説明すると、現場の担当者がスマートフォンに専用のアプリをインストールし、作業内容や進捗状況をそのアプリに入力します。
入力したデータはクラウド上に蓄積され、リアルタイムで本社や他の関係者と共有されます。また、アプリと基幹システム間のデータ連携を図ることでデータの一元管理や業務自動化が可能となり、全社的なデータ活用の推進にも期待できます。
現場のデジタル化を進めるには、現場のデータを手軽に収集・活用できてオフラインにも対応している業務用モバイルアプリが適しています。しかし、アプリ開発を外注または委託するにしても、開発コストや手間がかかり導入するハードルが高くなかなか進まないのが現状です。
そこで注目されているのが「ノーコード」です。ここでは、現場のデジタル化にノーコードを採用するべき理由をご紹介します。
現場のデジタル化を推進するうえで、最も多くの企業で課題となっているのは、専門知識を持つIT人材の不足です。
現場でデジタル化を進めるには、プログラミングスキルやシステム開発の経験が必要ですが、多くの企業においてそのようなスキルを持つ人材は限られています。例えIT部門にスキルを持つ人材がいたとしても、基幹システムの運用や保守で手一杯であり、現場のデジタル化に十分なリソースを割くことが難しい状況です。これでは、現場のデジタル化が進まないのも無理はありません。
IT人材不足を解消する手段として注目されているのが「ノーコード」です。
「ノーコード」とは、コードを書かずにアプリケーションやWebサイトを作成できる技術を指します。
例えば、利用したい機能を一覧から選び組み合わせるだけで、簡単に業務用モバイルアプリを作成できるツールもあります。プログラミングの知識は必要ないため、誰でも数時間から数日程度で、自社の業務に適したアプリを作成することが可能です。
ノーコードツールを活用することで得られるメリットは主に3つあります。
1つめのメリットとして、現場の担当者でも業務に合わせたアプリを作成することができることが挙げられます。IT部門の専任者が多忙でも、現場主導で業務改善を推進することが可能です。
また、現場の業務をよく知る担当者が自らアプリを作成することで、現場に馴染むシステムを導入することが可能になります。
2つめのメリットは、業務用モバイルアプリの作成期間をスクラッチ開発に比べて大幅に短縮することができることです。
ノーコード開発の場合、パーツを組み合わせる感覚で素早く業務用モバイルアプリを作成し、すぐに利用することができます。導入後の機能修正も容易に行えるため、業務フローの変更や法改正にも対応しやすく、現場の声を反映しやすいこともノーコードの特長です。
3つめのメリットは、ノーコードツールの導入から業務用モバイルアプリを作成するまでにかかる初期費用を抑えられることです。クラウドサービスとして提供されているノーコードツールであれば、データはサービス提供者が管理するクラウド上に保存できるため新たにサーバーを構築する必要はありません。また、コードを書かかなくてもよいため業務用モバイルアプリを作成するための工数を抑えられます。サーバーの構築費用や工数が少ない分、初期投資を抑えやすいため、現場のデジタル化を推進する第一歩として適しています。
ノーコードツールを使うことで、現場のニーズに合致したアプリを短期間で作成し、業務効率化とデジタル化を実現することができます。
ノーコードツールの中で、特におすすめなのがモバイルアプリ作成ツール「Platio（プラティオ）」です。Platioは4つのカテゴリで市場シェアNo.1※を獲得しており、業務用モバイルアプリ作成ツールとして、多くの企業で利用されています。
ここからは、Platioを導入して業務用モバイルアプリを作成した事例をご紹介します。
※出典：デロイト トーマツ ミック経済研究所ミックITリポート2024年2月号「B2Bノーコードモバイルアプリ作成ツール市場」
京セラ株式会社様は、素材、部品、機器の製造から、サービスまで幅広い事業をグローバルに展開しています。同社の物流倉庫では、紙のリストを使用して毎日在庫の棚卸を行っていましたが、事務所で発行したリストの受け渡しのために巨大な倉庫内を頻繁に移動しなければならず、多くの時間を割かれていました。また、在庫照合の目視チェックにも時間がかかるうえに、人的ミスも発生し在庫精度向上にも課題を抱えていました。
ある日、当時の新入社員から「棚卸用のモバイルアプリを作れないか」という提案があり、Platioで「棚卸アプリ」を現場主導で1日かからずに作成しました。
その場で棚卸結果をモバイル端末で報告・共有できるため、紙の受け渡しや移動時間が削減され、大幅な作業効率の短縮に成功。在庫照合の自動化も可能となり、目視チェックによるミスがなくなり在庫精度の向上も実現しています。
ビルメンテナンス業界の老舗として、オフィスビルや商業施設の設備管理、清掃管理、保安警備事業を展開している株式会社裕生様では、アナログな業務が多く社会全体でDXが加速する中でデジタル化が遅れていることに危機感がありました。そこで、従業員のデジタル意識を高めるため、Platioを活用して身近な業務からデジタル化を推進しました。
はじめに作成した「健康管理アプリ」と「安否確認アプリ」の利用をきっかけに従業員のデジタル活用意識が向上し、「業務改善提案アプリ」や「アルコールチェックアプリ」など新しいアプリの提案につながっています。
また、同社はその優れた取り組みが評価され、2023年6月に開催された「第1回日本ノーコード大賞」で優秀賞を受賞されました。
様々な機器を「うごかす、とめる」技術を中核にビジネスを展開しているナブテスコ株式会社様は、全社をあげてDX推進に取り組んでいます。特に、現場のITリテラシー向上と業務のデジタル化および効率化に力を入れるべく、DX推進部が船舶の製造部門と連携し、紙の作業日報や出荷前の製品画像の管理といった非効率な業務に着目しました。
業務用モバイルアプリの作成からデータ連携までをノーコードで実現できる「Platio Connect（プラティオ コネクト）」で「作業日報アプリ」や「出荷管理アプリ」を作成し、基幹システムや社内サーバーと連携することで、紙に入力する手間やデータ集計・管理業務を効率化しました。結果として、年間200時間を超える業務削減と2,400枚のペーパーレス化に成功しています。
また、製造現場における成果は社内で全社DXの推進として注目され、他の部門でも業務改善が行われています。
株式会社ナック様は「暮らしのお役立ち企業」として掃除・水・住宅関連サービスを提供しています。同社のクリクラ事業では、約400名の配送員が紙伝票を使用して配送業務を行っていましたが、毎日約60件の伝票を配送順に手作業で並び変えたり、会社に戻ってから紙伝票の情報をシステムに手打ちで入力したりする手間が発生していました。
そこで、Platioで「配送管理アプリ」を作成し、配送情報の閲覧から報告までの一連の業務をペーパーレス化、また、納品書が必要な場合はモバイルプリンターとアプリを連携することで、その場で納品書を印刷するように運用を変更しました。さらには基幹システムとアプリをAPIでデータ連携することで、伝票情報をシステムへ入力する作業を自動化。帰社後の作業時間を約40分から約5分へと8割以上短縮し、全社で年間約56,000時間の業務削減を実現しています。
土地の土壌汚染調査、浄化工事などを行う株式会社フィールド・パートナーズ様は、安全衛生のため点検担当者が工事現場に足を運び、転倒防止対策や保護具の着用状況などをチェックする「安全パトロール」を行っています。以前はこの業務を紙とExcelを中心に行っていましたが、現場への是正指示を含む点検表への記入や現場からの改善報告などが非常に手間となっていました。
そこで、Platio Connectを活用して「安全パトロールアプリ」を作成し、アプリと業務ポータルをデータ連携させることで点検表・改善報告書の作成を自動化しました。これにより年間約1,800時間の工数を削減するとともに、貴重な資産である点検データや報告データを統計・分析に有効活用できるようになりました。
いかがでしたでしょうか。全社的にDXを推進してはいるが、現場ではまだまだアナログな業務が残っているという企業も多く見受けられます。そのような非効率な業務のなかでも特に、紙やExcelで運用している情報管理業務の課題解決には、モバイルアプリの活用によるデジタル化が最適です。
モバイルアプリを活用することにより、基幹システムでは拾えない煩雑で細かい業務が多い現場の業務を効率化し、情報の一元管理によるデータ活用が容易になります。
Platioは、さまざまな業務に合わせた100種類以上のモバイルアプリテンプレートが用意されており、誰でも簡単かつ短期間で自社の業務に合う業務用モバイルアプリを作成することができます。また、初期費用0円、月額2万円からと低コストで導入することができるため、スモールスタートでモバイルアプリの作成、利用が可能です。
モバイルアプリを作成し、実際に業務利用してみるまでの体験版も用意しているため、現場の情報管理に課題を抱えるご担当者様は、試してみてはいかがでしょうか。
