近年、DXが注目されていますが大企業では実施が進んでいる一方で、中小企業では進んでいないのが現状のようです。中小企業でなぜDXが進まないのか、課題について紹介します。
昨今、企業のDX推進が叫ばれていますが、中小企業のDX推進が上手く行っていないという問題が存在します。
中小企業がDXに取り組むことができない理由は様々ですが、その中でも最も大きいのが「そもそもDXを理解していない」というものが挙げられます。DXへの認知や理解が浅く、DXによって何が解決できるのかがわからない、進め方がわからないなどの理由で実施に踏み切れない場合や、今までの環境を一新しなければならないという点で忌避感を持っていたり、経営者を含めた上層部が前時代的で保守的な考えのため実施が進まない場合もあります。
そのため、時流に敏感な大企業と比べると、中小企業は、DXそのものを等閑視しており、結果として中小企業におけるDX推進の実情はあまり芳しくありません。
中小企業のDXが進まない理由はいくつかありますが、その中でも特に大きい理由は以下の4つです。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
中小企業のDX推進の実情でも解説したように、DXに対して正しい認知がされてなかったり、知識を有していないという事が多いというのが理由の1つとして挙げられます。
IT担当者だけでなく、経営者がDXにどういったメリット・デメリットがあるのか、どのような業務課題を解決できるのかが明確にわからないためDXに踏み切れていないといった理由もあります。
また、DXを始めたのは良いですが、実施する目的が明確になっておらず「間違ったDX」を行ってしまうというパターンも存在します。
とりあえずデジタル化すれば良いというだけでは、従業員に負担がかかるなどの非効率を招く可能性もあり、それではDX推進をする意味がありません。DX推進の目的をしっかり持って取り組むことが大切です。
DXを行うためにはDXの知識・スキルを有した人材が必要です。
現在、DX人材は需要が非常に高まっており、新規に獲得することは非常に難しく、それこそ優秀な人材を確保する事はかなり厳しい状況になっています。人材採用が難しければ社内で育成するしかありませんが、それも簡単ではありません。
また、デジタル技術の導入というデジタイゼーションだけを実行できたとしても、それを活かす知識やスキルがなければ良い環境を持て余すだけの、まさに宝の持ち腐れと言っても過言ではない「間違ったDX」になってしまいます。
全ての従業員が必ずしもITスキルが備わっているわけではなく、パソコンは操作できても複雑なITツールは扱えないという方も多いでしょう。失敗しないためにも、自社の状況に合ったDXの進め方も検討しておきましょう。
DXにはある程度の予算が必要になります。様々なデジタルデバイスの導入やシステム開発・使用のための費用など、企業の規模や導入する部署の数などで予算規模は変化しますが、いずれにしろ一定の予算が必要であるという事には変わりありません。
その予算確保ができず、DXを行いたいが実施予算・資金的余裕が無いという中小企業も数多く存在します。
DXに乗り遅れてしまうと時代の変化に置き去りにされ、利益にはほぼ間違いなく影響を及ぼします。しかし、変革するための資金力も足りない事情がある場合は、融資を受けるなり多少無理をしなければならないのがDX推進の障害になっていると言えるでしょう。
DXとは、デジタル技術を活用した改革であり、できることを増やすための手段の拡張でしかありません。そのためDXすることが目的になってしまい、DXで何を成し遂げたいかという明確な経営戦略を考えていないというのが失敗するDXの一例として存在します。
逆に言えば、DXをどのように活かすか、新しくどのような事に挑戦してどういった経営戦略を取るのかなどの明確なビジョンがDXにおいては必要不可欠だと言えるでしょう。
DXのメリット自体は大企業も中小企業も変わらず恩恵がありますが、その中でも特に中小企業にとって効果が大きい3つのメリットをご紹介します。
これまでアナログで行っていた作業や、必要以上に工数が必要だった部分をデジタル化・自動化する事によって大幅に短縮することができます。
また、業務を効率化することにより生産性の向上にも繋がります。生産性が向上すれば単純に利益の向上に繋がる他にも、効率化によって生じた余裕を他の作業に回したり、様々な面で活用することができます。
これまで人手が必要だった作業を少人数化、あるいは完全デジタル化により無人化する事ができるようになり、人手不足を解消する事ができます。
深刻な人手不足に悩まされている中小企業であればその悩みを解消する事ができ、人手自体は足りている企業であっても手の空いた人材を他の部署に回したり、新規事業の立ち上げに回すことができるため、より柔軟に経営戦略を立てることができるようになります。
昨今では、急激なビジネス環境の変化に柔軟に対応することが求められています。例えば、コロナ禍や働き方改革などはビジネス環境の変化の一例と言えるでしょう。
業務のデジタル化は、従業員が新たな環境に適応できるという前提ではありますが、業務負担を大きく削減できます。また、業務効率が向上するということは、単純に仕事のスピード自体が増すという事であり、残業を減らすこともできるでしょう。
端的に言えばこういったビジネス環境の変化に対して必要なのは「余裕」であり、DXによって生じた業務の余裕を、ビジネス環境の変化に対する適応に回すことができるという事です。
実際にDXを実施した場合にどのような課題を解決できるのか、という点についても解説しましょう。具体的なメリットというよりはDXによってできることは何であるかという部分に焦点を当てた解説になります。
DXによって解決できる課題は以下の通りになります。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
ITツールやシステムの導入によって、これまで人手に頼っていた作業を自動化する事ができます。こういった自動化できる作業は人の手で行うよりも格段に速く進める事ができ、かつ人力だとどうしても発生してしまうヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。
自動化によって業務効率向上と人材不足の解消が同時に達成されるため、DXにおいてこの部分が一番恩恵が多いという中小企業もあることでしょう。
基幹システムは導入しても、通常業務などの細かい業務は、紙で運用している企業も多いのではないでしょうか?
紙媒体の資料は、欲しい情報を探すのが大変で負荷がかかります。また、紙媒体からデータ化する作業が発生するなど非効率を招きやすいです。
その他、紙はどうしてもかさばってしまう上、劣化もしやすく、保管する上で負担がとても大きいという問題を抱えています。
しかし、資料のデータ化によりサーバーかクラウドに保存され、データの一元管理ができるようになれば必要なデータを探し出す難易度も紙媒体よりも圧倒的に低くなります。
データの電子化によって、紙媒体では手間の大きいデータ活用を手軽に行えるようになります。顧客データを元に必要な情報を算出したり、それまで人力で行っていた確認作業をデータ上で行うことができます。
わかりやすい例で言えば、在庫数を紙で管理している場合、単にその時その場での在庫数を把握するだけなら紙を確認すればよいですが、在庫数の変動傾向などを把握したい場合には向きません。情報はデータ化されることで、傾向把握や分析が容易になるため、例えば適正な在庫数を素早く算出したりできます。
また、収集したデータを活用する方法としてデータドリブン経営というものも注目されており、データドリブン経営とは「収集・蓄積したデータを分析し、自社事業に活用する」という経営方法です。
DX推進にあたり最大の障害として問題になっているのがDX人材不足です。
アナログ環境からデジタル環境への移行はただデバイスを揃えたり、ソフトウェアと導入すれば良いというわけではなくその業務においてどのような部分をデジタル化するべきなのか、必要なデバイス・ソフトウェアはどのようなものであるか、またそうして構築されたデジタル環境を活用するためのスキルを身に着けているかなど様々な課題が存在します。
そういった課題に対する知識や経験を有した人材をDX人材と言います。このDXに対するノウハウを身に着けている人材というのは希少であり、DXが推進される初期の段階で殆どのDX人材が各企業に獲得されており、中小企業が新しくDX人材を獲得するという事はかなり難しい状態になっていると言えます。
そんなDX人材の不足に対する対応策には以下の3つが存在します。
デジタル技術を扱える人材が足りないのであれば、そもそもデジタル技術を人に使わせるのではなく、作業のいくつかを自動化させる事で対応する人員を削減してしまおうという対策方法です。
根本的な解決には程遠い、先延ばしとも言える対策方法ではありますが、DXノウハウが無い企業にとってDX人材を育成するという事も難しい以上は、できる範囲で自動化したりする他にDXを活用する方法はありません。
DXのノウハウを持っている他の企業にアウトソーシングするという方法もあります。自社でDX人材を用意しなくていいという点では手軽な対策方法と言えますが、当然何かしら問題が生じた際の対応にはアウトソーシング先の企業に依存しているため、その企業のフットワークの軽さ次第でトラブルが解決するかどうかの速度が変わってきます。
DX人材を新たに獲得できないのであれば、自社で育成するのが一番効果がある対策方法であると言えるでしょう。もしDXにおいてトラブルが発生したとしても社内で対処することができるため、社内にノウハウを蓄積してくことが可能です。
ただし、育成のためには当然ながらDXに関する知識やノウハウは必要であるため、DXノウハウを習得する必要はあるでしょう。
完全な独学で完璧なDXノウハウを身につけることができれば苦労はしません。従業員に新しくスキルを習得させるという概念として「リスキリング」というものがあります。企業にとって必要なスキルを習得してもらうことで、効率的に業務に必要な人材を育成する事ができます。
最近、DX人材不足を解決する手段として注目されているのは「ノーコードツール」です。ソフトウェアの開発に必要なプログラミングが不要で、誰でも簡単に直感的な操作でアプリケーションやWebサービスを開発することができる方法です。
IT技能を有していなくても最低限の知識と技能でソフトウェアの開発が行えるため、IT人材不足を補いつつ教育のハードルを下げることができる、まさにDX人材不足の救世主と言える可能性を秘めた存在です。
ここでは、ノーコードツール「 Platio(プラティオ)」についてご紹介します。
Platioは、業務に合った100種類以上のテンプレートからプログラミングの知識不要で、業務に合ったモバイルアプリを作成できるクラウドサービスです。パーツを組み合わせるような操作で業務アプリが簡単に作成できるので、IT人材に頼ることなく、現場の従業員が自ら欲しいアプリを作成することが可能です。
月額2万円から利用できるので、低予算でDX推進を実現することができます。
同社では、生活様式の変化に対応するために、ITツールを活用して業務のデジタル化を迅速に推進する必要がありました。そこで、「Platio」を導入し「営業活動報告アプリ」を3日で作成、アプリで報告された活動内容とSFAの顧客情報を「ASTERIA Warp Core」を使ってデータ連携することで、活動内容と工数の見える化に成功し、最小限の工数でデジタル化を推進できました。
今回の取り組みを通じて社員が各々の業務の在り方を見直し、本当に意味のある仕事を心がけるようになれば、働きがいの向上にもつながります。今後は営業メンバーにとどまらず、利用範囲を広げ活用するとともに、活動データを戦略立案にも活用し、DXを通じて他社にない付加価値の提供につなげたいと考えています。
事例の詳細は、こちらから。
株式会社カクイチは、ガレージやホースの製造販売、環境・健康事業、ホテル、MaaS事業など多角的に事業を展開しています。
同社では、これまで紙で管理していたデータのペーパーレス化など、社内DXを推進。既存事業で利用していたシステムや業務オペレーションを見直し、新たなシステムの導入を検討していました。
そこで、現場の報告を効率化するためのツールとして「Platio」で生産〜納品までの各工程ごとに7種類のモバイルアプリを作成し、150名体制で利用を開始。工程の現場業務のデジタル化やプロセスが改善され、現場のDXが進みました。
また、基幹システムと報告情報を連携することで一貫したデータ管理を実現し、トレーサビリティの確保につなげています。
事例の詳細は、こちらから。
中小企業のDXについて、実情や課題について解説しました。
DXにおいて重要なのは「改革は一歩一歩進めるべし」という考え方です。いきなり環境を一新しようとしても従業員は変化についていくことはできず、導入したデバイスやデジタル技術を活用するためには慣れが必要です。そのためにも、いきなり大規模にDXを実施するのではなく、まずは身近な業務からスモールスタートでDXを進めていくことで、予算の問題をクリアしつつDXを実施する事ができるでしょう。
経済産業省がDXレポートで2025年の崖という警鐘を鳴らす今、「現場の業務プロセス最適化」のためのIT活用が注目されています。本書では「現場におけるDX」の本質に触れながら、アプリ活用を軸に、「現場主導でできる業務プロセスの効率化とその着手方法」についてご紹介します。
本資料では、エンジニアでない業務部門のメンバーが、現場の業務課題を解決して生産性向上を実現しながら、新たなビジネスモデルの創出に貢献するDX人材に転換するために役立つ「ノーコードツール」について、事例を交えてご紹介いたします。