
保守点検とは、機械や設備を正常な状態で使い続けるために、決まった項目を定期的に確かめ(点検)、必要に応じて調整や部品交換を行う(保守)ことです。 点検表を毎日書いている現場は多いのですが、書いた記録が綴じられたまま見返されず、同じ設備で同じ異常が繰り返されることがあります。点検を続けることと、記録を使える形で残すことは別の問題です。点検を毎日続けている現場なら、次に見直すのは記録の残し方です。
保守点検は「点検」と「保守」を合わせた言葉で、点検で状態を確かめ、保守で正常な状態に戻す、という2つの行為を指します。 日常点検・定期点検・保全とは、一般に次のように使い分けられます。
| 言葉 | 何をするか | 誰が・いつ |
|---|---|---|
| 日常点検 | 外観・動作・数値を目で見て確かめる | 設備を使う担当者が始業前・終業後に |
| 定期点検 | 決めた周期で、分解や計測を含めて確かめる | 保全担当者や外部業者が月次・年次で |
| 保守(メンテナンス) | 不具合の修理や消耗品の定期交換で、正常な状態を保つ | 保全担当者が点検結果や交換周期に応じて |
| 保全 | 点検と保守を含め、設備を計画的に維持する活動全体 | 管理者が計画を立てて |
法令や業界の規程で点検の項目や周期が定められている設備もあります。対象と頻度は所轄官庁や社内規程で確認してください。
紙の点検表で困るのは、点検そのものではなく、記録をあとで使う場面です。 具体的には次の3つです。
ひとつめは、事務所での転記です。点検表を回収してExcelに打ち直す工程があると、読み違いや入力漏れが入り込みます。点検した本人ではない人が転記するため、判読できない字を推測して埋めることも起きます。
ふたつめは、過去の記録を現場で見られないことです。「この設備、前回はどうだったか」を確かめたいとき、綴じた点検表は事務所にあります。その場で判断できず、あとで確認しようと思ったまま忘れてしまいます。
みっつめは、傾向が見えないことです。メーターの数値を紙に書く運用では、先月から少しずつ上がっているという変化に気づけず、基準を超えて初めて分かります。設備の不具合には前兆が数値に表れるものも多く、ここを見逃していることが最も損をしている部分です。巡回を伴う点検の考え方は巡回点検アプリも参考になります。
点検した場所でスマートフォンやタブレットに入力し、それをそのまま記録にすれば、事務所で入力し直す工程がなくなります。 数値が蓄積されるので、前回との比較や傾向の把握もその場でできます。
スマートフォンで記録する利点は、点検表を持って歩く感覚のまま入力できることです。PCが苦手な担当者でも扱え、点検が終わった時点で記録も終わります。数値の範囲を決めておけば、異常値をその場で色や通知で知らせられます。写真を添えれば、にじむ程度の油漏れと明らかな漏れを後から見分けられます。日時と担当者は自動で入るため、いつ誰が点検したかの証跡も残ります。
Platio(プラティオ)は、アステリア株式会社が提供するノーコードのモバイルアプリ作成ツールです。100種類以上のテンプレートから選んで項目を調整すれば、いま使っている点検表と同じ項目・同じ順番のアプリを現場の担当者が用意できます。初期費用は不要で、月額2万円台から利用できます(2026年8月時点)。まずは無料で試せます。
設備の点検なら施設巡回点検テンプレート、車両や機械の始業前点検なら日常車両点検テンプレートが近い形です。
いずれも紙に書いてExcelに転記していた点検記録をアプリに移し、転記の工程をなくした例です。
産業廃棄物の中間処理を行う興徳クリーナー様は、設備の点検結果や臭気指数を記録する「工場日常点検」などの報告業務を紙で行っていました。ISO認証や行政の許認可に必要な項目も含めて毎日100項目以上を記録し、事務所では紙からExcelへ転記していました。紙の記録では入力漏れや計算ミスが起きやすく、表現が人によって異なるため、分析のための取りまとめも手間でした。
Platioで紙の報告業務をアプリ化しました。同社では、簡単なアプリなら1時間、複雑なものでも3日あれば作れるとしています。点検記録にかかる時間は約1時間から20分に、約1時間の転記作業はゼロになり、年間約400時間の業務を削減しました。入力漏れ防止の設定と自動計算でミスのないデータが蓄積され、表現の統一で項目ごとの分析がしやすくなっています。データはCSVで出力し、ISOや行政、経営陣への報告に使っています。

株式会社興徳クリーナー様の事例詳細はこちらからご覧いただけます。
総合大雄会病院など4つの医療施設を運営する大雄会様は、電気・ガス・水道の使用量を含む各施設の設備点検を毎日、紙とExcelで記録・管理していました。2名で毎日計6時間をかけて紙に記録し、Excelへ転記していたため、二重入力の手間と入力ミスのリスクがありました。異常値はトラブルの予兆と捉えられるため、同法人は早期に検知できる仕組みを求めていました。
「施設管理アプリ」を作成し、異常値は赤色で表示してアラートで即座に通知する形にしました。点検結果をタブレットから入力するため紙による管理とExcel転記が不要になり、年間220時間以上の工数を削減しています。過去の記録をすぐ参照でき、調査対応が早くなりました。点検精度の向上が施設トラブルの予防につながっていると同法人は評価しています。導入後の軽微な改修は現場の担当者が対応しています。

社会医療法人大雄会様の事例詳細はこちらからご覧いただけます。
自社で決める日常点検の記録なら、基本は次の6項目です。 法定点検は指定の様式に従ってください。
| 項目 | 記録のしかた | 何に使うか |
|---|---|---|
| 設備の識別(号機・場所) | 選択式またはQRコード読み取り | 設備ごとの履歴を追う |
| 点検項目の判定 | 良・要注意・不良の3段階 | 「気になる状態」を記録に残す |
| 計測値(温度・圧力・使用量など) | 数値入力。基準範囲を設定 | 前回との比較、異常値の自動判定 |
| 異常時の写真とメモ | 写真+自由記述 | 程度の判断、修理依頼の根拠 |
| 異常への処置 | 対応内容と完了・未完了 | 同じ異常の再発防止、修理の抜け漏れ確認 |
| 日時・担当者 | 自動記録 | 証跡、点検漏れの確認 |
判定を良・不良の2択にしないことが効きます。 2択だと、少し気になるが不良とは言えない状態が記録に残りません。3段階にしても手間は1タップのままで、要注意が続く設備を先に見に行けるようになります。
Q. 点検項目が変わったら、アプリを作り直すことになりますか。
A. 作り直しは不要です。Platioは画面上で項目を足したり順番を変えたりできるため、規程や設備が変わっても現場の担当者が自分で直せます。
Q. 点検記録を監査や行政への報告に使えますか。
A. 使えます。入力した記録はCSVで出力できます。Excelの指定様式で出力したい場合は、Excel帳票出力機能(Basicプラン以上)で、登録したテンプレートに沿って出力できます。
Q. 電波が届かない機械室や地下でも記録できますか。
A. 記録できます。Platioのアプリはオフラインでも入力でき、通信が戻ると順次データが送られます(事前にオンラインでログインしておく必要があります)。
保守点検は、点検で状態を確かめ、保守で正常に戻す活動です。紙の点検表では、転記の手間、現場で過去を見られないこと、傾向が見えないことの3つが解決しません。記録を現場でスマートフォンに入力すれば転記が消え、前回との比較がその場でできます。判定は3段階にし、計測値には基準範囲を持たせ、異常への処置まで残してください。
明日の点検で、1台だけスマートフォンで記録してみてください。紙と比べて手間が増えるか減るか、その1台で分かります。