多くの業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されている昨今。建設業界の現場では、未だに紙ベースで管理されているアナログ業務が多く存在しています。その中で、デジタル技術の導入を阻害する課題を解決しつつ、業務効率化を大きく進めるツールとして、スマホアプリが注目されています。
本記事では、建設現場に存在するさまざまなアナログ業務をご紹介するとともに、スマホアプリを導入するメリットや、実際に大きな効果を上げた事例について解説します。

建設業界の現場において、デジタル技術の必要性を感じつつも、「高額な導入費用」「現場でのデジタルスキル不足」「忙しくて業務改善をする時間が取れない」といった理由から、導入が進まないという企業は多いのではないでしょうか。
そのため、建設現場では依然として以下のようなアナログ業務が残されており、効率化の大きな課題となっています。
建設現場においては、報告者が現場で紙の作業日報や点検リストに報告内容を記入し、事務所に戻ってから報告書やパソコンに転記することが多いのではないでしょうか。しかし、この方法では事務所と現場を行き来する時間や、同じ内容を転記するのに手間がかかり、拘束時間や業務負担が増加する原因になります。
また、紙の作業日報や点検リストの使用はフォーマットが統一されていないことも多いため、報告内容のバラつきや記入漏れが生じやすく、集計や保管作業を行う管理者にとっても大きな負担となります。
本社で勤怠管理がデジタル化されていても、建設現場では出勤簿やタイムカードで管理を行っている場合が多くあります。この方法では、打刻漏れや書類の破損・紛失といったリスクがつきもので、労務担当者が実際の労働時間を正確に把握できない可能性が高まります。
施工管理では工程表や進捗表、設計図面といった資料が必要になります。これらの資料を紙ベースで扱う場合、現場の管理者や作業員へ配布するために大量の枚数を用意しなくてはなりません。施工開始後に変更があった場合は、修正を加えたうえで再度、必要部数を発行して配布するといったこともあるでしょう。
このように、紙ベースでのやり取りでは負担が大きいうえに、作成や配布に時間がかかることで情報共有の遅れも生じる可能性があります。
また施行管理においては、重要な記録資料として工事現場の写真撮影が必要不可欠です。着手前や途中経過、安全管理など撮影するべき写真は多岐に渡り、枚数も非常に多くなるため、紙ベースでは印刷・ファイリングの手間や、保管スペースの確保といった管理作業も大きな負担となります。
資材の在庫数を一つひとつ現場で紙に記入している場合、後からその情報を管理システムに入力する必要があるため、二重の手間が発生しています。
また、手書きでは記入ミスも発生しやすく、資材の過不足を正確に把握することが難しいといった問題も出やすくなります。結果として在庫管理が煩雑になり、必要な資材が不足したり、無駄に発注したりといった状況が起こりやすくなるでしょう。
建設現場では安全に作業を行える環境を維持するために、安全点検やヒヤリハットの報告を欠かすことができません。しかし、紙ベースで報告する場合、報告者が点検結果やヒヤリハットをその場ですぐに報告することが難しいため、情報共有や対応が遅れる可能性があります。その結果、安全対策が迅速に実施されず、重大な事故につながりかねません。
現場で培った技術やノウハウを後継者に引き継ぐ際、口頭や紙のマニュアルによる伝達が一般的です。作業手順書にまとめたとしても、重要なポイントが抜け落ちたり、テキストのみでは伝わりにくい技術もあるでしょう。
また、より正確に技術を残そうとすると情報量が膨大になり、必要な情報を素早く見つけ出すことが困難になります。
建設現場にスマホアプリを導入することにより、前述したような紙ベースのアナログ業務を効率化することができます。ここからは、スマホアプリがどのように現場業務をサポートするのか、具体的なメリットをご紹介します。
スマホアプリの大きな魅力は、シンプルな操作性です。普段から使い慣れているスマホで操作できるため、誰でも簡単に業務に取り入れることができます。
特別な操作を習得する必要もないため、導入時の抵抗感も少なく、現場での活用が進みやすくなるでしょう。
スマホは持ち運びがしやすく、現場で報告まで完了できるため、事務所に戻り報告書を作成する手間を削減することができます。またスマホの機能を利用して写真や動画を添付することで、文字だけでは伝わりにくい現場の状況をより正確に伝えることができます。
さらに、オフライン環境に対応しているスマホアプリであれば、通信環境が不安定な地下や高層ビルなどでも場所を選ばずに利用することが可能です。
スマホアプリにチェック入力式や選択入力式などを採用することで、入力内容のフォーマットを統一しやすくなります。スマホアプリによっては、統一されたフォーマットに情報を入力することで自動集計できるものもあるため、一つひとつの報告内容に目を通して集計するという手間を省くことが可能です。
また、フォーマットを統一し報告データの集計を自動化することで、報告の抜け漏れを減らし、さらに二重登録防止にもつながります。情報の正確性が向上しより多くのデータを蓄積できるようになるため、業務の最適化によるコスト削減といったデータ活用の推進にも期待できるでしょう。
紙での管理では、現場で必要な情報を確認するたびに、膨大な書類の中から該当する1枚を探し出す必要があり、時間が余計にかかります。
しかし、スマホアプリなら検索して数秒で表示できるため、作業効率が大幅に向上します。例えば、図面や発注書などもアプリ内で簡単に見つけられるため、現場での対応スピードが格段に上がるでしょう。
スマホアプリを使えば業務の標準化が進み、属人化を防ぐことができます。
写真や動画を使って作業手順を具体的に残すこともできるため、個人の知識や経験に頼ることなく作業の品質を保つことができるでしょう。また、業務マニュアルが更新された場合も、アプリから簡単に最新のマニュアルを確認できるため、従業員一人ひとりに抜け漏れなく情報共有することが可能になるでしょう。
スマホアプリは比較的安価で導入できるため、業務を効率化するためのシステム開発に比べて、初期費用を大幅に抑えられます。
特に、専門的な知識やスキルを必要としないノーコードツールであれば、外注することなく自社の業務に合わせたアプリを誰でも簡単に作成することができます。
ここからは、建設現場にスマホアプリを導入し、業務効率化を実現した事例をご紹介します。いずれの事例も業務用モバイルアプリ作成ツール「Platio(プラティオ)」を活用した事例です。
Platioとは、業務用モバイルアプリを誰でも簡単に作成できるノーコードツールです。さまざまな業務に合う100種類以上のテンプレートが用意されており、ドラッグ&ドロップのシンプルなマウス操作だけでアプリを作成することができます。
東横イングループの一員である株式会社東横イン電建様は、ホテルの設計から建設、メンテナンスなどを担っています。
同社では、業務日報や図面・マニュアル、検査、アンケート、資格管理、人事評価テストなど多くの業務を紙で行っており、紙の業務に手間やコストの負担が発生していました。
そこで、Platioを活用して日報や機能検査、休暇申請などの業務をアプリ化。全社でペーパーレス化が進み、事務作業の大幅な効率化だけでなく、用紙代やコピー代、保管スペース代など年間約180万円のコスト削減にも成功しています。

事例の詳細は、こちらから。
株式会社小坂田建設様は、宅地造成や道路、林道などの土木工事を手がけており、工事用の車両や建設機械(建機)の始業前点検を徹底しています。しかし、紙の点検用紙は、運転席がオープンな建機では雨で破れたり紛失したりしやすく、点検管理の課題がありました。
また、オイル交換の時期を逃してしまうと、エンジン修理に1台あたり約80万円の費用がかかることも問題となっていました。
そこでPlatioを活用し、車両・建機点検用のアプリを作成。現場で簡単に点検内容を記録・報告できるようになり、記録漏れが解消され、点検管理の精度が向上しました。故障の予防と修理コストの削減が実現し、車両や建機が長持ちし、費用対効果も工場に貢献しました。

事例の詳細は、こちらから。
東備建設株式会社様は、岡山県を中心に設備・土木関連の事業を展開しています。工事に使用する油圧ショベルやフォークリフトなどの重機は毎日の点検が義務付けられており、同社では始業前に現場の担当者が点検を行っていました。
これまでは点検の結果を各重機に置かれた用紙に記入しており、月に一度、現場を回ってすべての用紙を回収し、点検状況を確認していました。
しかし、回収日以外は点検状況が把握できず、記入漏れへの対応ができないことが課題でした。
そこで、点検報告と管理業務を効率化するためPlatioを導入。「重機点検アプリ」を数日で作成し、点検報告をリアルタイムで確認できるようになりました。未報告者には電話で記入を促すことができるため、記入漏れの防止につながっています。紙の回収業務や管理業務も不要となり、大幅な業務効率化を実現しています。

事例の詳細は、こちらから。
株式会社フィールド・パートナーズ様は、土地の土壌汚染調査や浄化工事を手がける企業です。同社では「安全パトロール」として、点検担当者が現場を巡回し、転倒防止対策や保護具の着用状況などをチェックしています。
以前は点検/是正結果を現場で紙に記録し、現場事務所でExcelに転記していたため、移動や記入に手間がかかり作業負荷が大きい状況でした。また、紙の報告書では写真情報の不足や情報のバラつきがあり、改善報告書の作成にも手間がかかるという課題もありました。
そこで、スマホアプリの作成からシステム連携を短期間、かつ低コストで可能という理由からPlatio Connect(プラティオ コネクト)導入。安全パトロールをアプリ化し、業務ポータルとデータ連携することで点検表や改善報告書作成の自動化を実現しました。
これにより、年間1,800時間の工数を削減。さらに、指摘箇所や是正後の状況を統計・分析することが可能となり、安全衛生管理への意識向上にも大きく貢献しています。

事例の詳細は、こちらから。
建設現場では費用の問題や現場のデジタルスキル不足の問題など、さまざまな理由により未だ多くのアナログ業務が存在しています。
このような問題を解決し、業務の効率化を大きく進めるためには、比較的低コストで利用できて現場の従業員でも扱いやすいスマホアプリの導入が有効です。特に、ノーコードのスマホアプリ作成ツールであれば、自社の業務に合わせた独自のスマホアプリを素早く簡単に作成することができます。
Platioは初期費用0円、月額2万円からと低価格で利用できるため、スモールスタートで現場のアナログ業務をアプリ化することができます。また、人気のテンプレートごとのデモ動画を見ながらアプリの作成し、現場での利用やカスタマイズもできる無料体験も用意されているため、まずはお気軽にご相談ください。