新型コロナウイルスへの対策として、政府は在宅やオフィス外での勤務を可能にする「テレワーク」の活用を呼びかけています。テレビや新聞の報道でも、テレワークに関する話題を多く耳にするようになりました。
一方で、「テレワークって言われても、具体的に何をどうすればいいの?」 「ぜんぜん予算がない、パソコンを新たに買わないとできないの?」など、こんな声も特に中小企業を中心に多く聞かれます。
そこで本記事ではテレワークを実現するための4タイプの方法を紹介します。
お金をかけたり専門知識がないと実現できないサービスもありますが、なかには低コストで簡単に実施できるものもあります。会社の規模やオフィスの環境にあった方法で無理なく安全にテレワークを実施できるよう、参考にしていただきたいと思います。新型コロナウイルスの感染が拡大をはじめた本年の2月以降、急速にテレワークが広まっていますが、実態としては企業の何%くらいが実施しているのでしょうか。
大阪商工会議所が3月12日に公表した「新型コロナウイルス感染症への企業の対応に関する緊急調査結果」では、資本金3億円以上の企業におけるテレワークの実施率が54.7%だった一方で、資本金3億円未満の企業では僅か9.5%に留まりました。
大手企業では過半数近くがテレワークを実施していますが、中小企業ではだいぶ低く、実施率に差があることが分かります。
企業規模の大小だけではなく職種別・業種別でも差があり、国土交通省が実施した「平成29年度テレワーク人口実態調査」では、企画/Web/クリエイティブ、エンジニア職では導入率が高いですが、サービス販売、建築土木といった業種では低くなっています。
こういった業界というのは、店舗スタッフや現場作業者など、出勤しないとできない仕事、テレワークが不可能な仕事も多いことは事実です。しかし、管理職、経理・事務など、オフィスでパソコンに向かって行っている作業であれば部分的にでもテレワークに移行可能なはずなので、この数値はもう少し上がらなければいけないと考えます。
しかし、社内にIT部門がなく、ITに詳しい人材もいない企業などでは、未だにどうすれば「テレワーク」が出来るのか分からないという現場の担当者も多いのではないでしょうか?
漠然と「会社で使っているデータをUSBで家に持って帰ればいいのかな」と考えている方もいるかもしれませんが、それは間違いです。テレビでテレワークを開始したと報道されている会社は、そのようなことはしていません。では、どのようにテレワークを実現するのがよいのでしょうか?
まず先ほども書きましたが、単純に「会社のデータを持ち出す」という方法は、原則NGです。情報漏洩のリスクが高く、コンプライアンス経営が要求される現代においては危険行為です。どうしても会社のデータを持ち出す場合は、セキュリティ管理を徹底することが必須です。テレワークでは、データは安全な場所に置いておき、そこに対して外部からアクセスするということを基本に考えていきましょう。
では、テレワークの実現に使われる具体的な方式を4つ紹介します。
遠隔地のパソコンから会社内のネットワークに対し、VPN(Virtual Private Network)と呼ばれる仮想ネットワーク技術により認証してアクセスすることで、業務データが入っているサーバーやシステムを利用する方法です。VPNにて通信を暗号化することで安全性を確保しています。
NTTやSoftbankといったプロバイダを始め、Citrix、Cisco、F5 Networksなどの通信企業から様々なサービスが提供されており、比較的安価なものもありますが、人数や拠点が多い企業だと設定とライセンス管理が大変になります。セットアップや接続にはそれなりにテクニックが要求されるため、IT技術に疎い人だけでは厳しいかもしれません。また作業中に保存したデータは端末に残る場合があるので、セキュリティは万全ではありません。この方法は、ひと昔前まで大手企業の主流でした。
VDIとは「仮想デスクトップ基盤」という意味の略語で、ユーザーのデスクトップ環境をまるまるサーバーに移してしまう技術です。パソコン自体にOSやアプリ、データが入っているのではなく、それらが全部サーバー上に集約されるので、自宅のパソコンからも自社と全く同じ環境にアクセスできます。リモートアクセス・VPN方式と違い、作業中のデータも全てサーバーに保存され手元の端末に保管されないため、情報漏洩やウイルス感染を防ぎやすく、セキュリティが高いといわれています。日立、NEC、VMWareなど各大手ITベンダーがソリューションを提供していますが、サーバー環境の構築が必要で、初期費用、運用費用共にかなり高額です。専門知識も必要とされ、情報システム部門を持たない中小企業が導入するのはやや困難だといえるでしょう。VDIは現在、大手企業や官公庁がテレワークを実現するうえでの主流となっています。
ニュースなどで著名な会社が「テレワークを開始しました」と報道されているケースは、だいたい2(または1)の方式を採用していることが多いです。これらは情報システム部が大規模な予算で導入したサービスであり、中小企業にはハードルが高いのも事実です。
この方法は、外部のパソコンから会社のパソコンにインターネットでアクセスし、遠隔操作するものです。自宅にいながら、デスクトップ環境、保存されているデータ、インストールされているソフトウェアなど全て会社のパソコンのものを利用できます。パソコンだけでなく、手元のスマホやタブレットから操作することも可能です。作業したデータは手元に残りません。会社のパソコンに特定のソフトウェアをインストールして暗証番号を設定するだけで使用できるものが多く、導入は簡単です。ただし利用するときは会社のパソコンの電源を入れておく必要があります。Google Remote Desktop, TeamViewerなどのサービスがあり、おおむね低コストで、特にGoogle Remote Desktopは無料で利用することができます。セキュリティ上の注意点としてはハッキング対策で、パスワードの管理をしっかりすることと、通信が暗号化されたサービスを選んだ方がよいでしょう。
アプリをクラウド化することによって、インターネット環境さえあればどこからでも同じアプリにアクセスして作業できるようにする方法です。データ保存先サーバーもクラウドストレージにすることで、ファイルの参照、受け渡しも場所を選ばずに実現できます。比較的サービス利用料が安く費用が抑えられるほか、モバイルから利用しやすいのも特長といえます。アプリの種類も豊富で、サイボウズ等のグループウェア、もしくはG SuiteやOffice 365といったスイート、業務に合わせたモバイルアプリを作成できるPlatioなど様々です。問題は古くから使っているシステムや、専門性が高く特定のパソコンにインストールされているようなソフトウェアの移行が困難なことと、データをパソコンの中に保存してしまうことによる情報漏洩の危険性です。社内セキュリティ規定を作り、しっかりとした管理が必要です。
以上4タイプの方法を紹介してきましたが、なかでも中小企業が導入しやすい方法といえるのは、やはりリモートデスクトップやクラウドアプリでしょう。
このように、コストをかけずに小規模でも始められる特徴があります。テレワークの実現のためには、特定のツールだけにこだわる必要はありません。たとえば、現場との情報共有、報連相、台帳記入など基本作業はクラウドアプリで実施し、どうしても会社のパソコンで操作が必要なソフト、システムは会社のパソコンをリモートデスクトップで操作するといったような組み合わせでもOKです。すべてを一度にやろうとせず、できることから少しずつ実現していくことがポイントです。
テレワークを実施するにあたって、自宅やリモートオフィスからどうやってテレワークの申請などの「勤怠管理」を行うのか?というのも課題の一つになります。メールやチャットでは埋もれてしまい、見落とされる可能性も高いうえ、誤送信の危険もあります。
そこで、クラウドアプリPlatioでスマートに勤怠報告を行うのがおススメです。Platioならば使い慣れたスマホから、簡単かつ確実に送信できます。詳しくは以下のリンクをご覧ください。
また、テレワークでは、直接顔を合わせないからこそ、日報などでの業務報告や進捗確認が重要です。使い慣れたスマホからアプリで手軽に報告できれば、お互い離れた場所でも入力・管理が圧倒的に楽になります。Platioでは、業務に合わせた自社専用の業務日報アプリを簡単に作成して使うことができます。詳しくは、こちらのリンクをご覧ください。
以上、テレワークを具体的に実装するにあたって主流となる4タイプのITサービスを中心に紹介してまいりました。大手企業のように大規模な環境を構築できない場合でも、低コストのサービスを使う工夫でテレワークは実現可能です。「うちはテレワークできる業務なんてないから」「予算がないからとてもテレワークなんて」と諦めていては、いつまでたっても導入は進みません。まずできるところから試してみて、テレワークの実現に踏み切りましょう。
Platioの導入事例をひとつにまとめました。小売業やサービス業、医療法人まで幅広い事例を掲載しています。導入背景や課題、どんなアプリを活用して効果を上げたのか、導入担当者の声も交えてご紹介しています。
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