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「ノーコード」なアプリ作成ツールが熱い!Googleが買収したAppSheetはどれだけ便利なのか?

はじめに

ノーコードでのアプリ作成を実現するプラットフォームが昨今流行っています。その名の通り、コード(プログラム)を書かないでアプリを作成できるサービスやツールのことをいいます。

今年1月、GoogleがノーコードのリーディングカンパニーであるAppSheetを買収したことが話題になりました。業務支援アプリ開発プラットフォーム「AppSheet」は、まだまだ日本ではなじみがない名前ですが、世界的には累計20万を超えるアプリが作られていて、月間1万2000人もの利用者がいるサービスのようです。

実はGoogleは自社でApp Makerというアプリ作成ツールを持っていたのですが、そのサービスを終了させてまで買収したApp Sheetに移行することを決めました。

Googleがノーコード開発を重要な戦略と位置付けている証ですが、AppSheetとは果たしてどんなものなのでしょうか? 本記事ではGoogleがApp Sheet買収に至った理由も含め、AppSheetを実際に使ってみた評価や同じくノーコードでアプリが作成できるPlatioとの比較について書いていきたいと思います。

参考URL
https://paradigm-shift.co.jp/column/79/detail
https://thebridge.jp/2020/01/google-acquires-no-code-app-development-platform-appsheet-pickupnews

AppSheet

1.Googleは何故App Makerに見切りをつけたか?

まずは、何故GoogleがApp Makerを終了させるに至ったのかということを少し考えてみたいと思います。こちらの記事によると、Googleは「使用率が低かった」ということを理由として発表しています。

たしかに、同じく簡単なアプリ作成ツールであるGoogle Forms等はそれなりに利用されていますが、App Makerは、聞いたことがなかった、知らなかったという方がほとんどでしょう。なぜあまり浸透せず、知名度もあがらなかったのでしょうか?

App Makerは、もう新規のアプリ作成ができなくなっていますので、できる範囲でApp Makerの特徴を調べてみました。

App Makerの主な特徴

利用するにはG SuiteのBusinessエディションとEnterpriseエディションの契約が必要
アプリを作るために、Cloud SQLの準備が必要
ノーコードではなく、多少コード(スクリプト)を書く必要がある(※)

※このようなプラットフォームをノーコードに対して「ローコード」と呼びます

上記の特徴を見る限り、App Makerはノーコード開発を求める利用者には敷居が高かった、ということが伺えるでしょう。 実質プログラミング・コーディング技術が求められるプラットフォームだと、それを使ってアプリを作成できる人はエンジニア/デベロッパーであり、非技術者や初心者がアプリを作るのは難しくなります。

結果、社内SEや情シス部門の担当者がアプリを作る必要がありますが、そういった部門は得てして現場業務のアプリ化には関わらないので、App Makerが浸透しなかった理由もうなずけます。求められているのは、現場の担当者が自分たちでアプリを作成できるレベルのサービスといえるでしょう。

2.AppSheetを試してみた……App Makerに比べてどこが変わったか?

では続いてAppSheetでのアプリ作成を試してみることにしましょう。Googleに買収されたものの、G Suiteに組み込まれたというわけではなく、まだappsheet.comとして独立しています。このappsheet.comがアプリを作るスタジオとなり、ブラウザからログインしてアプリ作成を行います。

AppSheetを軽く使ってみた感想ですが、「分かりやすく、作りやすい」ということです。特に現場目線で役に立ちそうな豊富なジャンルのテンプレートからのアプリ自動生成機能が便利だと思いました。(豊富なテンプレートは、Platioとも共通するところです)

G Suiteを契約してなくても、Googleアカウントさえあればすぐに利用できることもあり、App Makerに比べ相当ハードルが下がった印象です。やはり開発者ではなく、現場の担当者が自分たちでアプリを作れるというレベル感がノーコードサービスの重要なファクターではないでしょうか。

※無料でも使えますが、メール送信などの機能は課金しないと使えません

AppSheetはアプリの作成方法が3パターンあります。

  • A.既存のデータベース(Excelやスプレッドシートの表でOK)からアプリを作成
  • B.アイディアを入力してAIが自動でアプリを作成
  • C.テンプレートからアプリを作成
3パターンのアプリ作成方法

3パターンのアプリ作成方法

このうち、「A」や「B」は「C」に比べてやや難易度が高く、少しAppSheetを学習した上級者向けという印象を受けました。というのは、基本的にAppSheetというのは「表」を元にアプリを作る、というコンセプトになっています。その表がデータベースになり、それに対するデータ操作によってアプリが出来上がるというわけですが、その関係性や構造がイメージできないと、なかなか思い通りの動作を実現させることができません。

ということで、初心者やITスキルを持たない利用者にとっては、テンプレートから作る「C」が非常に便利でしょう。

テンプレートはかなり豊富です。Field Service、Property Management、Sales & CRMなど、10種類のカテゴリそれぞれに数個~20個程度のサンプルアプリが含まれており、すぐにアプリをデプロイ(作ったアプリを使える状態に公開すること)することができます。

豊富なサンプルアプリ

豊富なサンプルアプリ

その中から、工事現場の管理者のための現場調査チェックリストアプリ(Inspection Checklist app)を選び、まずはそのままデプロイ(本番反映してアプリで使えるようにすること)して使ってみました。デプロイされたアプリに対し、左側のShare Appメニューから、特定の宛先に招待メールを送ったり、アプリのインストールリンクを送ったりすることができます。Googleが買収したとはいえ、AndroidだけではなくiOSでもちゃんと動作します。

アプリの設定画面

アプリの設定画面

アプリ画面(チェックリスト)

アプリ画面(チェックリスト)

このアプリは、現場名(Sites)に対して工事(Jobs)を登録し、現場管理者が工事の下見をする際に使用します。現場の場所、担当者の連絡先などの情報の他、現場の図面等をアップロードできます。ままた、工事の規模や、危険物の有無、ゴーグル着用の必要性などチェックリストも備えられ、最後は現場主任のサインを登録してステータスをCompleteにして完了です。

アプリのカスタマイズですが、少しGUI(画面操作)に癖があるので、最初は手こずるかもしれません。基本的には、まずデータベースの元となるスプレッドシート(Excelシート等でも可)があり、項目の追加等は直接それを操作することで行います。シート1枚が1つのテーブルに相当します。それらのデータをアプリでどのように表示させるかというレイアウトを「UX」という設定で行い、最後に「Behavior」で、ワークフローやメール通知といったアクションの設定を登録します。アクション動作や条件設定については、一部数式がありますが、ほとんど「○○を○○する」という文章で選択できるので、分かりやすい印象を受けました。

3.Platioとの比較

ここまでAppSheetを簡単に紹介してきましたが、アステリアの提供するアプリ作成ツールPlatioに非常に近いものであると分かりました。両方とも「現場の担当者自らが現場業務をIT化する」ことができるというコンセプトに基づいていると思います。作れるアプリの機能レベル的にもほぼ同等で、マップ表示や位置情報のほか、オフライン使用など類似点が多いですが、いくつか違いは見られましたので、最後に簡単にまとめておきたいと思います。

Platio vs AppSheet

  Platio AppSheet
日本語対応 完全日本語対応 現時点では日本語未対応
動作プラットフォーム iOS, Android iOS, Android, PC(ブラウザ)
既存データソースとの互換性 既存表からデータをPlatioに取込み直す必要がある G SuiteやO365、Boxの既存シートからワンタッチでアプリができる
アプリ作成の簡単さ 初心者でもすぐにアプリを作ることができる ノーコードだが、多少のIT(DB)知識必要、直観的とはいえない部分あり
拡張機能 IoTデバイスとの連携 機械学習機能、OCR

AppSheetは基本的に1つのデータ表をデータベースとしてそれを元にアプリを作る仕組みなので、アプリのデザインにおいて常にデータベースとの関係を意識させられます。対してPlatioの場合は画面デザインを設定しているうちに、気付いたらデータベースが整理されているといった感じで、あまり作成者がデータベースを意識しなくてもアプリが作られるのが特徴でしょうか。

4.まとめ

この記事では、ノーコード開発サービスとしてGoogleが買収し話題になったAppSheetを取り上げてみました。残念ながら、まだ英語オンリーで日本語対応されていませんが、英語がそれほど得意じゃない人でもテンプレートを元に素早くアプリを作れてしまうところは、流石ノーコードといえます。テンプレートの種類の豊富さや管理者に通知を送る機能など、Platioと同様、現場管理者の負担を軽減し、現場業務のIT化による情報共有を促進するツールであるといえます。Googleもこのような使いやすさを評価して買収に踏み切ったのでしょう。今後どの程度日本語対応し、日本の企業に便利なテンプレートが増えるかどうかが日本における普及のカギとなるのではないかと思いました。

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